もともと父さんの店は

横浜のベッドタウンにある
小さな魚屋だった。
自分は幼少すぎて
記憶がトビトビで
さんざん旨い魚を食べさせてもらったことは確かだ。
オヤジの気質上
食材への妥協は一切せず
かつ地域のお客さんや
手伝いのパートさんにはめっぽう甘い
簡単に言えばお人好しが祟り
レジから金抜かれたり
貸し売りを踏み倒されたり
かと思えば騙されるとわかっていながら
飯食わせてやったり
まあつくづくオレも似ていて
腹が立つが
そんな彼が
魚屋をたたみ心機一転
まあ一発勝負
これがダメなら田舎へ帰る。
そんな気合と借金たっぷりつぎ込んで
出したお店が
焼き鳥やだった。
屋号は
魚屋のまま
伊東食料品店
皿とかも魚屋の頃の使い回し
最後の横浜のボクの誕生日に
父さんはボクのトモダチを
昼から店を開けて
集めてくれて
誕生日会をしてくれた。
最後がわかっていたようなお祝いの儀式
渾身の一品は
彼が必ず飲み屋にいくと頼んでいた
カシラ タレ

ボクも
飲み屋にあれば必ず
頼む。
そして
目に浮かぶ。
今も
大きな懐で
許すこころを持つ
自慢の偉大な
父さんを
もう13年も経つんだな。
いいよ。
いいコトバだ。


