さて、TPPに反対する根拠はなんでしょう。
ややこしいのは、一口に反対といってもまるで180度違う意見の人たちが反対派で寄り集まっているため、主張がばらばらなことです。

まるで、「自由至上主義者 vs それ以外すべて」とでもいうような・・・。
これは全く一面からしか見えていない言い表しかたなんでしょうね。

先日、新宿で右翼系らしき新聞が配っていた号外で、「TPPで国が崩壊する」というものがありました。
下は羅列されていた中身です。

1.国民皆保険制度が崩壊
2.食料自給率40%から13%に
3.遺伝子組換食品蔓延、食品安全崩壊
4.低賃金外国人労働者が大量入国
5.デフレが超加速・外国人失業者へ生活保護!?

うーん、やはりこういう認識が一般的だとみて良いんでしょうか。
どうなるかはこれからだというのははっきり言えることなのですが。


さて、反対派の意見を・・・と言ってもやはりいろんな人がいるし、まだ有名どころの「TPP亡国論」とかも読んでないし・・・。
やはり主張を把握できている人を、と考えると鈴木宣弘氏の本でしょうか。

震災復興とTPPを語る―再生のための対案TPPと日本の国益 を(読まなくて良くなるくらい)箇条書き。


・アメリカは震災時に「TPPで日本に追い打ちをかけるべきではない」と言っていた。
・日本はすでに「開国」している。これ以上開くことは最後の砦を明け渡すようなもの。
・規模拡大ではアメリカやオーストラリアには太刀打ちできない。条件が悪い国が農業を保護するのは当たり前。
・「情報がない」というが、TPPの元はP4協定という2006年発効の協定をベースにしているのだから、予測できる。
・アメリカの乳製品が入ってきたら、日本で認可されていない成長ホルモン注射牛の危険性がある。
・健康、環境規制はアメリカに緩和を求められるのは間違いない。
・遺伝子組み換え食品は表示義務の廃止、残留農薬基準は緩和を求められる。牛肉の輸入制限も。
・FTAAP(中国も含めた共同体構想)をアメリカが提案しているのは、実現を真剣に目指すためではなく、戦略的に具体的議論を遅らせるため。


・自由貿易協定は「市場の囲い込み」による「悪い仲間作り」。それ以外は仲間はずれになるため、入らざるを得なくなる。他の国のマイナスを考慮に入れると、世界全体ではプラスにならない。日米FTAではその他の世界が受ける損失は46億4500万ドル。農産物を例外にすればかなり減る。「例外なしが良い」というのは間違い。
・「1.5% (農業) vs 98.5% (それ以外)」という考え方は問題。 輸出のシェアはGDPの14%。
・アメリカへの工業品関税は低い。車2.5%、テレビ等家電5%。無税品目も多い。関税撤廃の影響はほとんど無い。
・公的医療制度をやめるようになれば医療が崩壊。
・「交渉すれば例外も認められる」は根拠がない。カナダは乳製品で門前払いになった。
・アメリカは砂糖と乳製品を例外にしてくれといっているが、ニュージーランドの生乳を例外にしないように主張。一番都合の良いルールにしようとしている。これに対して日本はアメリカに逆らえない。コメを例外にはできない。
・内閣府の試算は、「産業の生産コストが半分になる」という前提がある。それをいれないで計算したら日本の利益は増えない。逆に農業の「多面的機能の喪失」によるコストを入れるとマイナスになる。

・もし農産物が関税ゼロになれば、田畑が荒れ果て、果樹への転換が進んで果樹価格が下落する。米が生産されなくなるところに食糧危機が起これば大変。
「所得補償があるから関税撤廃しても大丈夫」は間違い。概算でコメ1.7兆円、他を含めた総額3.2兆円を毎年支払うのは現実的ではない。(一俵3000円換算)関税撤廃分を含めれば4兆円。
・「今の輸入価格は上がっている。そんなに支払うことはない」というのは危険。現在は(イメージ的には石油産出国のような?)今の日本の輸入量に合わせて、輸出国側が価格をつり上げている。
・貿易量の少ない農産物市場では、日本の輸入増加によって価格が上昇しやすく、消費者の利益が減って損失額が大きくなる。
・「十年間の猶予があるのだから、それまでに規模拡大で負担は縮小される」って、机上の空論。現実考えたら甘くない。
・メキシコはNAFTAでトウモロコシの国内生産が縮小。価格高騰で暴動が起きた。
・アメリカが輸出国になっているのは、農業保護が手厚いから。いくら安く売っても黒字になるし、はけ口が確保されているので在庫が無くなることもない。輸出信用(お金が払えなくても米国政府が負担するので輸入してくださいという制度)や食料援助の名目で、輸出補助金相当額は年1兆円。
・日本が同じような輸出補助金をしようとしても、アメリカからの圧力でできない。コメのミニマム・アクセスも、本当ならしなくていいのに無理に全部輸入しているのはアメリカから釘をさされているから。
・日本の農業保護は世界的に少ない。本当に日本の農業保護が多いなら自給率が上がっているはず。
・農水予算は削られているため、自給率目標は達成できていない。
・アメリカは日本の産業にとって成長が期待できない。中国とアジアが大事で、経済圏の足場を固めることが重要。アメリカにとってはアジアが分断されていたほうが都合がよい。
・アジアの連携強化のためには、EU統合の原動力となった共通農業政策(CAP)を東アジアで構築する。
・CAP導入でコメ関税は186%までは下げられる。



TPPの対案としての農業政策
・コストがかかっても、農業の国内生産を維持するべき。
・生産調整から販売調整へ。
・米粉、飼料米にもっと所得補填。
・販路拡大、備蓄。
・自由化はもっと柔軟に関税の引き下げ水準と、支払額とを試算して現実的な妥協点を考えるべき。
・日本からの輸出・食料援助を増やす。安全保障と、海外援助を兼ねて縦割りではない予算の抜本的改革。
・担い手への支援強化。新規参入者への長期的な支援プログラム。
・集落営農などでは給与が少ないために作業者が定着しない。給与の補助。
・農家の多面的機能に対する支払いは社会政策として強化。
・農家がもっと元気になるような政策とは何かをきちんと議論する必要がある。
・コミュニティの再生。「大規模化して企業がやれば強い農業になる」は単純すぎる。地域の意向を無視するべきではない。




ちょっと書きすぎた・・・
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