一ヶ月ほど前、NHKの「BS世界のドキュメンタリー 」を見ていた。

やっていたのは、「非暴力革命のすすめ ~ジーン・シャープの提言~」


内容に関しては、キャプチャなどを載せているのでちょっと心配になるが、こちらのブログが詳しい。

素晴らしきドキュメンタリー!  テレビから世界へ情報発信!

近年世界で起きた民主化の波。
アラブの春や旧ソビエト領の民主化を進めたマニュアルのようなものがあった。

そのマニュアルの特徴は、「非暴力」の闘争をするということ。
決して「平和主義」の考え方ではなく、独裁の元となっている根幹をどのようにしたら揺らがすことができるかを方法論として研究したものだ。

シャープは独裁政権を倒すにはクーデターや他国の介入など、武力を基にした闘争では損害が大きすぎ、また政権を倒したとしてもその後の後釜が独裁的になるケースが多々あるという。
非暴力で戦略的に戦えば、市民の連帯や社会基盤を破壊することなく政権の委譲を行うことができるし、なにより人命の犠牲を少なくできる。

独裁者に対しては、その権力の源となっている「協力者の支持」がなくなればその権威を失墜させることができるとする。市民の連帯を基礎にした「不服従・非協力」によって、その権威の裏付けをなくせば政権を維持することができなくなる。

アラブの春では、テキストメッセージでシャープのまとめた「非暴力行動のための198の方法(198 Methods of Nonviolent Action )」が人から人へ、アメリカ人であることやシャープという名前が知らされないまま伝播していったという。

これは特定の国に向けられたものではなく、そのためにどのような体制に対しても一定の考慮すべき戦略が適用可能であるという点で画期的なものだ。

最近ではビルマの選挙があったが、あれもやはり非暴力抵抗運動の成果だといえる。

私自身はこれを特にアフリカの独裁政権、腐敗したガバナンスへ対処するフレームワークとしての材料の一つになると感じていた。独裁者によって支配された国はどのように成長への道を歩き出せるかを考えて、他国による介入以外に道はないかと探していた。そこにパズルのピースがはまったかのようにすーっと入ってきたのだ。

セルビアのオトポールやイラン、エジプト等、抵抗運動をしている人たちはシャープの「独裁から民主主義へ(From Dictatorship to Democracy:Gene Sharp)PDF 」を読んでバイブルのように参考にしていたらしい。

だが当初はうまくいっていた「アラブの春」は現在少し違う方向へと向かっているようだ。
今日の毎日新聞でタハール・ベン・ジュルン氏がインタビューで、「当初、名も無き民衆が主導したアラブの春ではイスラム宗教勢力の存在感はほとんどなかった。しかしいま、宗教勢力は状況を巧みに利用して権力を手中にしつつある。~人権や民主主義の充実を求めていた人々に失望を与えている」と答え、宗教が政治に与える影響について危機感を表明している。
これはシャープの想定からは外れたことではあるが、やはり特定の国、もしくは宗教圏では特に文化的要因が体制に大きな影響を与え、影を落とすことになる。「組織化」というものがその国の人々の人種や宗教にかかわらずにできることは稀だろうから、そこらへんは今後こういう問題を考える上でネックとなる部分なのだろう。


この本はアラビア語やウクライナ語、ベトナム語やチベット語に勝手に翻訳され、多くの人が読んできた。
しかし日本語版はまだ出ていなかった。

そのため、なんとか読み進めようと思って一週間以上かけて1章まで翻訳してみた。
そしたらやっぱりというか案の定だ。

【アンコール掲載】
ビンラディン後の世界を知るヒントがここにある
中東・北アフリカに広がる民主化運動の理論的支柱 
ジーン・シャープ博士 特別インタビュー
「戦略的非暴力で独裁政権は打倒できる」


「尚、シャープ博士の著書『独裁政権から民主主義へ』の邦語訳(瀧口範子翻訳)は、シャープ博士主宰のアインシュタイン研究所の同意、協力の元に、2012年春出版予定です」

ちょっとがくーんときたが、この一文以外に全く情報がない。
瀧口範子という人は遅筆で有名だったりするんだろうか。

まあいいや。ちゃんとあちらとコンタクトがとれて、本業でやっている人にちゃんとやってほしいし。
早く読みたいので、とにかく早く出してほしい。
このままだとなんなんで、アインシュタイン研究所の出している他の本でも非公式版として出してみようかな・・・。


>>追記
ダイヤモンド社にメールを出してもなんも返信が来ない。
もう半分まで翻訳したので、このまま発売が延期になるようだったら公開するつもり。

>>5.15追記
本文は8割方翻訳した。
ただ下訳とでも呼べる完成度なので、このまま公開するかどうか。
あえてそのまま出し、他の人に推敲してもらうのもありかな。自分には完璧な翻訳はできないし。

>>5.21追記
公開しました。
こちらで見れます。

>>6.19追記
一章の誤字、文の修正。

>>8.14追記
書籍発行。ガイドライン通りにしろと言われ公開をとめたけど、ちょっとこれひどい・・・

ジーン・シャープ「From Dictatorship to Democracy」を翻訳しました