転入の日、雨が降り続いていた。
雨が降り終わった時、空気は入れ換わるらしい。



だが今、雨は降り続いている、つまりはそういう事だ。




校舎は海側から伸びる坂道を登った場所に建っていた。
晴れたらここから、海見れるのかな等と呑気な事を思った自分に心の中で少し苦笑した。

そんなことを思っている内に二年一組の前、僕が入るクラスの前に着き、担任の先生が教室に入る前に僕の顔を見て緊張をほぐすため微笑んでくれた。

それを見てて少しドキッとするのがわかった。別に思春期特有の『あれ』ではないが、ただ少しドキッとした。

先生が良いかしらと言ってから教室の戸を開いた。



その時窓から雨が止んでいるのが見えた。
僕が叔父の家に着いたその日の夜、雨が降りだした、ニュースによると梅雨入りしたのだと言う、去年より何日か早いらしい。



「梅雨か…」





海が近いからだろうか、磯の香りが鼻腔をくすぐった気がした。
『いままで体験した事は経験になって人は大人になっていく』
そう言った人がいた様な気がする





押し潰される様な錯覚を覚える曇天の中軽トラを運転している叔父の隣で僕は空と同じ色をしている海を眺めていた。


そういえば叔父夫婦に引き取られる時、自分の住んでいる町は漁業が盛んで美味い魚が沢山食べれるぞと言っていたのを思い出した。
まぁいままで忘れていた事なのだからたいしたことではない、それに魚料理は好きではない。

そんな事を思っていたら睡魔が海の波の様に押しよしてきた、睡魔に無理に逆らうのも馬鹿らしくそのまま眠気に身を任せた。


着いたぞと叔父の声で目をさました僕はあの寝起きの妙にスッキリした感覚で新たなる僕の家を見た。