人が行き交う、駅のホーム。
やってくる電車を待ちながら、ふと思う。
生きることは、難しい…と。
僕は、空気であればと願い続けてきた。
それが例え、無謀なことで、無駄なことで、無慈悲なことで、非現実的でも。
僕は願い続けて。
いつから願い始めたか、覚えていない。
きっと最初のトラウマが出来た頃、思ったのが起源だろう。
人に触れた。仲良くなれた。
徐々に、相手の心が離れた。
握った手が哀しいほどに、冷たくて。
その時、聞いた言葉は凍てつくような鋭さで。
僕はいつから、間違っていたのか考えて。
結局、どうにもならなかった。
離れた心は、空に飛んでしまった風船のように。
この手に戻る、ことはなかった。
些細な、そんな言動をしたのかもしれない。
不安しかない生活だけが、僕の前に転がって。
そうして僕は、空気になれたらと思い始めた。
誰にも接すが接しない。
誰とも触れるが触れられない。
空気のような、そんな距離を望んだ。
そうしなければ、僕は僕を保てずに崩れてしまう。
そんな気がして怖かった。
これ以上、自分も他人も失うのが怖かった。
だから、今でも思う。
生きることは空気と同じ。
でもそれは、ある種の苦痛を孕む。
決して触れない訳じゃないから、痛みが僅かに生まれたり。
日常じゃない日常に、溶け込みそうになったり。
僕は、狂気と背中合わせで今に居る。
誰一人、傷つけずに。
そう思うがあまりに、思うこと。
いっそ、空気になれたら幸せだろうに。
でもそれは、本当に?
生きることは死ぬことだから、飛び降りてしまおうか。
ほら、日常じゃない日常が、悪意に満ちた顔をする。
飲み込まれたら、僕は足元の暗がりに飛び込むだろう。
そうして車輪に巻き込まれて……どうなる?
ほら、電車が来た。
僕は、僕は?
どうしたいのかすら解らない、混乱した頭の中。
誰かの声が、響いた気がした。