翌朝───






カナト「昨日食べたハンバーグ7個、まだ完全に消化しきれていない…。朝から胃がもたれる…」





カナト「でも仕事休むわけにはいかないからなぁ…。今日はとにかく、早めにトイレに行く事を心がけよう…」





カナト「今日を乗り切れば、明日明後日は休み…!よし、頑張ろう!」





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夕方───





カナト「何とか胃もたれを乗り切った…。このまま真っ直ぐ帰ろう」

???「くっ…!お前、なかなかやるな…!」










???「だが、私の衣服を剥ぎ取ったからといって負けたわけじゃないぞ!!たとえ裸になって汚されたとしても…!!」

カナト「………」





カナト(あっ、スルーした方が良さそうな人達だ。ここは見なかったフリをしよう…)






スタッ スタッ





カナト(うん、これでいいんだ…)





???「待て、そこのサラリーマン!」

カナト「!!」










カナト「は、はい…何でしょう?」

???「お前、今スルーしようとしたな!?私のこの姿を見てピンチだと気づかないのか!助けろ!」

カナト「いや、助けろと言われても…僕にはどうしたらいいか…」

???「………」





???「んっ…?お前、どこかで見たことあるような…」

カナト「そうですか…?僕の記憶にはちょっと…」





カナト(…待てよ。この髪型は確か…)





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???「久しぶりじゃないか、カナト。何年ぶりかな?」

カナト「高校生の時以来だから約10年だと思うよ、マコトさん」

マコト「マコトでいいよ、カナト。真面目なところは昔と変わらないな」

カナト「確かに」





マコト「カナトは今、何の仕事してるんだい?格好からしてサラリーマンっぽいけど…」

カナト「まぁそうだね…。マコトは何してるの?」

マコト「私はな…」





マコト「コスプレイヤーだ。かれこれ7年になるか…。結構有名な方だぞ」

カナト「なるほど。だからその格好なんだね」

マコト「びっくりさせてごめん」

カナト「いやいや…」





マコト「体型維持が想像以上に大変でな。初めは苦労したよ…。でも次第に楽しくなってきたから苦じゃなくなった!」

カナト「大変なんだね…。だからスタイルよかったんだ!」

???「………」





???(どうしよう、拙者は二人の会話に入れない…)










カナト「マコト、こちらの赤い忍者は一体…」

マコト「あぁ、彼はレッドニンジャー。本名フジキド・タケシ…」





マコト「私のお父さんだ🎵」

カナト「お、お父さん…!?」

タケシ「………」





カナト「は、はじめまして。マコトさんの同級生のカナトです…」

タケシ「………」

マコト「ごめん、カナト。お父さんは職業が忍者だからあんまり人と会話しないんだ」

カナト「忍者は隠密行動ですもんね…すいません」





タケシ(54歳にもなって人と会話しないなんて、我ながら恥ずかしい…。すまない娘よ、こんな父親で…)





マコト「あ、そうだ。私これから事務所に打ち合わせに行かなきゃだった!先行くな!」

カナト「あ、うん」

タケシ「………」















カナト(マコト、忙しいんだなぁ…。頑張って!)

タケシ「………」










カナト「………」

タケシ「………」





カナト(あれ、もしかしてこの状況は…)





タケシ(カナト=クンと喋らなきゃいけないパターン…)



第3話「コミュ症はつらいよ」 へ続く。