突如訪れる電化マイルスどハマり期を楽しんでいるここ最近だが、傑作「bitches brew」の素晴らしさはいうに及ばない。しかしフリーインプロヴィゼーシャンの世界であり下手すれば音楽ではなくなってしまうギリギリを保っているこのアルバムは問題作「on the corner」よりもとっかかりにくいのではないかという疑問がある。しかし「on the corner」が文句なしの名盤にならずに、一見ぐちゃぐちゃなつぎはぎだらけの音の塊である「bitches brew」が音楽史上においても歴史的傑作とした崇められるのには納得できる。それはまた別で話すとして、電化マイルスの入門としてはこの「live evil」がベストなのではないかと思う。
このアルバムはMilesを逆から読んだselimやDavisを逆から読んだsivad(破滅の神シヴァ神という意味づけもあるらしい)などの適当につけられたも曲を含むスタジオテイクとceller door で1970年に行われたライブテイクを編集して特にいいところを抽出して曲にした部分を組み合わせたアルバムである。スタジオとライブの組み合わせのアルバムはクリームやマウンテンのアルバムにもあり決して珍しくはない。しかしこのアルバムはライブとスタジオの境目のほとんどない所が特徴である。
そして特筆すべきはライブ部分である。このライブ部分では「bitches brew」や「on the corner」よりもまだ曲っぽくもジャズっぽくもある。マイルス、キースジャレット、マクラフリンのソロなどそれぞれのソロがキレキレ。マイルスデイビス自身も絶賛したキースジャレットのエレピのソロは冷たく硬質な音でぶっ飛んだソロを弾きたくっているし、ジョンマクラフリンの唯一無二なジャジーかつ無機質な速弾きは狂気的である。マイルスのソロもハイノートを多用したフレージングが光っており。まさに鬼とかした混沌としたフリージャズである。マイケルヘンダーソンのベースとジャックデジョネットのドラマのリズム隊の延々繰り返されるようなドゥーミーなリズムセクションといい全てが素晴らしいと言わざるをえない。まさにのちに続くマハヴィシュヌオーケストラやリターントゥフォーエバーのような超絶インプロヴィゼイションの礎になっているアルバムである。御託を並べるより聴いて打ちひしがれるべき名盤である。ちなみにライブ部分の編集されていないオリジナルはthe celler door sessionという6枚組くらいのアルバムの中の一枚で描くことができる。「live evil」を聴いて気になったらぜひ編集されていないそのままのライブを聴いてみてほしい。
