「人生会議」とは、アドバンス・ケア・ プランニング(Advance Care Planning)の愛称です。
アドバンス・ケア・プランニングとは、あなたの大切にしていることや望み、どのような医療やケアを望んでいるかについて、自ら考え、また、あなたの信頼する人たちと話し合うことを言います。
あなたの希望や価値観は、あなたの望む生活や医療・ケアを受けるためにとても重要な役割を果たします。
ぜひ、この人生会議であなたが認知症になったときについて話し合ってください。
厚生労働省の2015年1月の発表によると、認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されており、65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されています。
認知症の前段階とされる「軽度認知障害(MCI: mild cognitive impairment)」と推計される約400万人を合わせると、高齢者の約4人に1人が認知症あるいはその予備群ということになります。
医療機関を受診して認知症と診断された人だけでもこの数字であるため、症状はすでに出ているのにまだ受診していない人も含めると、患者数はもっと増えていくと考えられます。
今後高齢化がさらに進んでいくにつれ、認知症の患者数がさらに膨らんでいくと推測されます。
認知症になると、徘徊、不潔行為、暴力や暴言などの周辺症状が現れ、介護者(家族の方)に迷惑をかけたくないから、認知症になったら施設に入りたいという方がたくさんいらっしゃいます。
認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン) 令和元年6月18日
厚労省が今回発表した推計によれば、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みです。
(引用:認知症フォーラムドットコム)
もはや、認知症は他人事ではありません。
もし、あなたが認知症になると、
・判断能力がなくなるため、銀行からお金を降ろせなくなります。
・判断能力がなくなるため、法律行為ができなくなるので、不動産を売却することができなくなります。
このことを、「認知症による財産の凍結」と言われています。
あなたの財産が凍結すると、あなたの介護費用は家族の方が負担することになりますが、施設に入居する場合には多額の費用がかかります。
施設に入居するためのお金の準備ができないから、家で介護をされている方いらっしゃいますが、認知症の方の介護は大変で、介護ストレスがたまり、介護疲れや介護うつになる方もいらっしゃいます。
認知症について勉強されている方は、「後見制度」を利用すれば良いのではないか?
と思われるかもしれません。
たしかに、後見制度を利用していただくと、後見人が銀行からお金を降ろしたり、不動産を売却することができます。
しかし、いくつかのデメリットがあります
1つ目
あなたに財産がたくさんある場合は、後見人は家族の方ではなく、弁護士や司法書士などの専門職の方が選任されます。お金を降ろしたり、不動産を売却する場合は、毎回後見人や家庭裁判所の許可が必要となります。そのため、合理的な理由がなければ、お金を使えなくなります。
2つ目
後見人に弁護士や司法書士などの専門職が就任すると、毎月2万以上の報酬が発生します。
3つ目
後見制度は、目的が達成したときにやめることができず、原則、あなたが認知症から回復するまでか、なくなるまで続きます。
4つ目
原則、家庭裁判所が選任した後見人を他の人に代えてもらうことができません。たとえ、後見人が気に入らなくても、あなたの財産をずっと管理することになります。
人生会議で、あなたの望む生活や医療・ケアを決めたとしても、認知症になってしまうと実現できなくなる場合があります。
そこで提案させていただきたいのが、家族信託です。
家族信託とは、親が元気な間に、家族の方と家族信託契約を結び、子などに財産の管理を任せるしくみです。親が老人ホームに入居するときに、まとまった現金がない場合、財産の管理を任された子が、実家の家を売却して、入居費を準備することが出来ます。
また、あなたの財産を家族の方が管理するので、家庭裁判所や後見人の許可が必要ありません。そのため、あなたが認知症になっても、家族の方が家族信託の契約に基づいてあなたの財産を自由に使うことができます。
ぜひ、信頼できる家族の方と家族信託の契約を結んでいただき、財産の認知症対策をしてください。
当事務所にて家族信託の設計と契約書の作成をさせていただきます。
よろしくお願いします。
