「 〇〇ちゃん…」

 

微かだけど明瞭に脳裏が捉えた。

満月明けと生理も重なって、絶好調に眠い🥱

 

そろそろ 起きなきゃ。…かな…

それでも 束の間、二度寝への甘い誘惑に乗る。

柔らかな 薄手のシーツ生地に再び右頬を預ける。

 

音もなく、スッと 右足から降り立つ。

「トーチャン、たいへん。9時まであと15分!🫢」

 

珍しく朝寝坊の夫と息子。「カーチャン、マスクある?」

髭を剃る暇もなく、マスクで隠す作戦。

 

「田口さんのおかげで助かったね。ドアを閉める音はちょっと

響くけど…」

 

そう、夫のスマホの目覚ましアラームで二人とも7時に起きて、

階上に住んでいる田口さんのベランダの戸を閉める音が

迫力あるでしょ、と夫に話していたのだった。

 

パシーン!

 

「ほんまや。かっこよ。」

とぼけた関西弁で珍しくちゃんと会話のキャッチボールが

成立していた朝。

 

「かっこいいの? へえ。」

日常的に聞いてちょっと辟易していた私には斬新な感想だった。

(かっこいいと思えば、かっこいいか…)

 

そんな会話の後に、二人とも二度寝をして、

おそらく 田口さんが「お姉ちゃん。」と娘さんを呼んだ声で

目を覚ませたんだと思う。

 

むかし 父がよくそうしてわたしを起こしてくれたかのように。

 

「母ちゃんが起こしたげたおかげでセーフだったね」

と恩着せがましく言うと、

 

「カアちゃん カミ。」

と言って、夫は会社へ向かった。

 

田口さん、カミ。

 

 

2025.10.9.(木)