先日、参加してきました「公開研究討論会」
非常に質の高い、そしてとても考えさせられる内容でした。
専門的な内容も多くありますので、わかりやすくお伝えできるものを、イメージとしてお伝えしたいと思います。
この「公開研究討論会」は、税制上の問題点と思われる項目をクローズアップさせて、どのような税制にするのがより良い税制につながるのかを、会場にいる税理士ひとりひとりが考えるという感じでした。
<北陸税理士会>・・・損失関連税制の検討
つまり、
住宅を売って出た損
株を売って出た損
土地を売って出た損
オートバイを盗まれた損
台風で家が全壊したときの損
などなど、生活していると損が出ることがあります。
ひとつだけ例を挙げると、
自分の住んでいる一軒家を売って、バリアフリーのマンションに買い換えたら、売った家について損が出た
という場合
その方の給与所得が500万円だとして、その家を売ったことによる損失が200万円なら、相殺してその年の所得は300万円になる特例があります。
ただし、この特例を使うにはローンがあることが条件なのです。(もちろんその他にも要件はあります)
その条件があるために損失を相殺できない場合は救済の道がないのですが、高齢化社会になっている今、そういう税制でいいものかどうか・・・ということです。
「税制改正に関する意見書」により、改正要望が出ている項目です。
年末の税制改正大綱に何か出てくるかもしれません
<近畿税理士会>・・・所得控除と税額控除の役割
このお話は憲法も絡んだ国民と国との関係のお話も含んでおりますので、非常にざっくりと書かせていただきます。(食べ物のことは事細かに書くけど、税金のことはいつもざっくりちゃうん)
現代社会の抱える多くの問題、つまり
格差社会
仕事がない
待機児童問題
少子高齢化社会
などなど。
このような問題について、社会保障が充分機能していないなら、社会保障と税制を一体改革して、お互いを補完しようという考え方があります。
一方で、社会保障でしか解決できない問題・・・例えば、子供を預けることができない親にとっては、保育所が必要なワケで、お金では解決できないなど、社会保障と税制の一体改革では解決しようのない問題があるという考え方があります。
今年度から「こども手当て」の支給が始まりました。
それと引き換えではないと言いつつも、平成23年から、年少者の扶養控除がなくなりました。
このことが、社会保障と税制の一体改革へまっしぐらということを意味することではないにしても、お金で解決できない問題の解決にはつながらないワケです。(「こども手当て」はいろんな効果を期待して導入されていますので、社会保障の側面だけではありません。念のため。)
また、財源がないという理由で、「こども手当て」が廃止になったとして、それと引き換えに果たして年少扶養控除が復活するのかどうか・・・ということも問題視されていました。
もちろん、いますぐに結論の出るような簡単なお話ではありません。
もっともっと充分に議論されるべき問題です。
(がんばって要点だけをできるだけ簡単に書いたつもりなのですが、やはり結構複雑な要素を含んでいる問題だけに上手くお伝えできてないとしたら、お許しください。)
上記の北陸税理士会と近畿税理士会の研究テーマから浮き彫りにされた問題点を、税理士ひとりひとりが考えることがこの「公開研究討論会」の意図するところです。
各税理士会は、こういった税制の問題点と思われる項目について、「税制改正に関する意見書」により改正要望をしています。(税理士会は全国の地域にそれぞれあり、各税理士会の連合会が日本税理士会連合会なのです)
社会は常に変化しています。
その社会の変化に応じて、税制も変化していくものです。
税の専門家として、税制がより良いものとなるように提言するのも、とても重要な税理士の仕事です。
ご質問等ございましたら、宝塚☆友松悦子税理士事務所HP の無料相談コーナーまでどうぞ