「KY」というのは「空気が読めない」ことのそうです。
私は英語のプロレスの資料を読むことが多いのですが、英語では「KY」はアメリカのケンタッキー州のことです。いつしか私はケンタッキー州というと「空気が読めないケンタッキー」と語呂を合わせるようになりました。
1970年代のケンタッキー州の試合記録を見ていると、時々、プロレス史を覆すような試合結果に出くわせます。70年代のケンタッキー州はまさしく「プロレス史の空気が読めないKY」なのです。
1974年4月16日【ルイビルKY】東條山本&神風&トーア林対ジェリー・ジャレット&ジョーイ・ロシー&ラフハウス・ファーゴ
カードはわかるのですが、結果はわかりません。おそらく元の資料はプログラムで、だからカードはわかっている。しかし、新聞では報道されなかったのでしょう、結果はわかりません。
神風というのはミスター珍さんです。東條山本さんとのつながりは50年代、山口利夫さんの旧全日本プロレスで出来たものです。この時点で珍さんは国際プロレスの所属です。
トーア林はミスター林です。前年の日本プロレス崩壊直前にメキシコに出て、翌々年の76年に帰国してから馬場さんの全日本プロレスに入ります。まあ、なんとも言えないトリオですね。
この日のメインエベントがこれまた凄い。ルー・テーズ対トミー・ギルバートです。ギルバートはこの翌年にジョニー・スターの名で全日本プロレスに来ています。 何で凄いのか、言うまでもないでしょうが、説明しておきます。 この試合は南部ジュニアヘビー級のタイトルマッチです。しかも王者はテーズさんなんです。
長年、NWAの世界ヘビー級王者に君臨していたテーズさんが、同王座陥落後に、ローカルな、しかもジュニアヘビー級のチャンピオンだったことがあるんです。猪木さんがウエイトダウンして藤波さんのジュニアヘビーのベルトに挑戦した。そんなインパクトです。
この直前にテーズ対ギルバートはここケンタッキー州ルイビルで2連戦しています。おそらくそこで王座が移動していたのでしょう。ウエイト的にはテーズさんはギリギリヘビー級なので、ジュニアヘビー級でも違和感なしだったと思われます。