ほぼ2000年前の漢王朝の最末期に、董卓(とうたく)という横暴な武将が宮廷の実権を握っていました。若い皇帝の権力を奪い、大臣を不当に責め、残酷に端から処刑していきました。

 

大きな晩餐の席では、楽しみのために人を殺すことが常で、生きたままで四肢を切り取り、動揺する賓客の前で、残りを煮えたぎった油に投げ込みました。時には賓客は同僚の血で煮込んだ汁を飲まされました。

 

王朝は崩壊の瀬戸際にあり、信頼できる使いの者たちもどうしていいか分かりませんでした。この暴君を失脚させる唯一の希望は、中国史でも屈指の美女、貂蝉(ちょうせん)に託されました。

 

貂蝉は美しいだけでなく、歌にも踊りにも長けていました。幼い頃、親を亡くし、皇帝に忠実な司徒の王允(おういん)に養女として育てられていました。美しい女性に成長した貂蝉は、養父の恩に何とか報いることができればと常日頃考えていました。

 

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