昔々、あるところに石工が暮らしていました。石については豊富な知識があり仕事ぶりが丁寧だったため商売はうまくいっていました。山の石切り場から石を切り出すのは骨の折れる仕事でしたが、人をうらやましく思ったり高望みしたりすることもなく、幸せに暮らしていました。

 

この山には精霊が住んでいて、ときどき人の前に姿を現しては魔法で願いを叶えてくれるという言い伝えがありました。そんな精霊などいるわけがないと思っていた石工の身に、次々と不思議なことが起こりました。

 

ある日、石工が金持ちの客を訪ねると、その家はまばゆいほどに美しいもので埋め尽くされていました。すると突然、石工は自分の生活をひどくみじめに思い、心の中でつぶやきました。「ああ、わしも金持ちだったら幸せだろうなあ!」

 

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