「先生、私はどうしてこんなにも不幸なのかしら?」ナンシーは私の診療室で、涙ながらにここ数ヶ月間の出来事を話してくれました。

 

 「私は、自分の誕生日に自分が末期の乳がんであることを宣告されました。まったく心の準備もないまま、すぐさま手術室に運ばれました。その間、起きるはずのないことが次々に起こったのです。とにかく、私に係わったすべてのことにミスがありました。先ずは血液検査のときに、看護士が私の血管を見つけられず、それから、診療してくれた医師は脳卒中にかかってしまいました。さらに、私の手術に使われるはずだった管は、東部から送られたはずなのですが、どの病院へ行ったのか分からなくなってしまったのです・・・人生の目標がなくなったかのように、すべてのことが方向を見失ってしまったのです」

 

 さらにナンシーは続けました。「とんだ間違いの中でやっと手術が終わって、両方の乳房が切除されましたが、退院後はしばらく経っても傷口は一向に回復しませんでした。家から病院へ通う途中、交通事故に遭い、まだ癒えていない傷口が再び開き、手術室へと運ばれました・・・」

 

 私はあっけにとられて、「すべてのことには必ず何か原因があるはずだ。何故この患者の回復はこんなにも遅く、しかも多くの困難に遭うのだろうか?もしかして、彼女の心に問題があるのではないだろうか」と考えました。

 

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