趙銓は医官に推薦され、死の臭いを嗅ぎ取ることができた
趙銓は字(あざな)を仲衡と言い、高唐県(現在の山東省)の出身だった。彼は、飾り気がなく温厚で、医学に精通し、国子監(隋以降、近代以前の最高学府)に学士として入学した経験があった。
明の嘉靖年間、夏言は内閣府長官に就任したばかりで、皇帝に会うために都に赴く予定だった。ある夜、夏言が乗った船が海岸に停泊した。夜も更けてきてしばらくすると、侍従が馬を誘導する音が聞こえ、馬車から真鍮の鈴の揺れる音や、絹や竹が奏でるメロディアスな音が聞こえてきた。それを聞いた夏言一行は、長く宙を見上げていた。
すると突然、空中から「薬王が来た」という声が聞こえてきた。夏言は、「薬王とはいったい誰だ」と尋ねた。するとすぐに「彼の名前は趙だ」と答えが返ってきた。それから声は聞こえなくなった。
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