ある宴会の席でのこと。高僧に同行した弟子は、肉が精進料理に混ざっていることに気がついた。家の主人に知ってもらおうと、わざとその肉を見えるように料理の上に載せた。それを見た隣にいた高僧は、箸で素早くその肉を他の具の下に隠したが、弟子は再び肉を挟んで料理の上に置いた。しかし高僧は、またもやその肉を隠してしまった。
高僧は弟子に言った。「もう一度、その肉を取り出したら、私がその肉を食べてしまいます」。弟子は黙ってうなずいた。
帰途、弟子は高僧に言った。「料理人は、僧侶が肉を食べないことを知っていたはずです。なのになぜ、肉が精進料理に入っていたのでしょうか? 無礼な料理人は罰を受けるべきだと思いましたので、そのことを主人に知らせようとしただけです」
高僧は、「過ちは誰でも犯します。不注意であれ故意であれ、ご主人が料理人を処罰するところも、解雇してしまうところも私は見たくありません。理にかなうことは、もちろん大切ですが、人を許すことも必要です」と答えた。
(翻訳編集・潤)
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