諸葛孔明(181年- 234年)は、三国時代の蜀漢の政治家、戦略家です。彼は天文、地理、軍事の学問に精通し、草廬(そうろ 孔明の出世前の住居)から出る前に、既に天下のことが分かっており、人間の知恵者の代表として称えられていました。彼は劉備を助けて、国土、資金、兵馬などがほとんど何もない状態から、魏国、呉国と鼎立できるほどの国富民強の蜀漢政権を築き上げました。しかし、天下を統一して漢王朝を再興する夢を最後まで実現することができませんでした。あれほど知恵と能力を持つ孔明でも、天意に逆らうことができなかったのです。

 

もちろん、孔明自身は天意に逆らえないことを自覚していました。彼が残した預言書馬前課』の中からこれが読み取れます。『馬前課』では、一課で一つの歴史時代を予言しており、全部で十四課あります。その第一課は蜀国と彼自身のことを予言してこう書かれています。「無力回天,鞠躬盡瘁。陰居陽拂,八千女鬼。」

 

「無力回天」とは、自分の力では天意を変えることができず、「鞠躬盡瘁(きっきゅうじんすい)」とはそれでも漢王朝を再興させるために自分の全力を尽くしたということです。孔明は、劉備を助けて漢を復興させるために、5回北伐して魏国と戦いましたが、結局目的に達せず、戦地で亡くなりました。

 

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