異国の珍しい宝物

 

大航海時代の真っ只中、メディチ家は航海探検や海外進出に関与していませんでしたが、海外からの珍しい宝物を熱心に集めていました。

 

トスカーナ大公コジモ1世はアジアの自然の絶景に心を惹かれ、中国様式の植物や人物などの装飾絵柄が刻まれた、インド洋のオウムガイの殻を展示するため、特別にフランドルの金細工職人に金属のブラケット(棚などを支える横材)の作成を依頼しました。

 

海外の新たな地域が発見されていくとともに、様々な材質の品物がヨーロッパに流れ込むようになりました。1486年にナイジェリアが発見された後、ポルトガルの商人たちはアフリカのベニン王国から象牙製品を輸入するようになったので、コジモ大公は多くの象牙のスプーンなどの食器を購入しました。このアフリカ風の象牙彫刻スプーンは非常に希少で、全世界で48個しかなく、マリーア・マッダレーナによって宝箱に入れられ、慎重に保管されました。

 

新大陸の文物もメディチ家のコレクションに入っています。例えば、アンティル諸島のタイノインディアンの珍しい宝物やブラジルの貴重な羽毛のコートなどがあります。フランチェスコ・イ・ド・メディチ大公の私生児アントニオ・デ・メディチも、アメリカ大陸に興味を持っていて、宗教都市遺跡・テオティワカンから出土したといわれている玉製の面具を入手しました。

 

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