ある智者が私に、「長生きの秘訣は多く笑うことだ」と教えてくれたことがある。残念ながら、当時私は幼くてそのことばの意味がよく理解できなかった。大きくなって少しずつ、人は誰もいらいら、失意、悲しみ、苦しみの経歴を持ち、「人生は十中八九、思い通りにならない」ということがわかってきた。

 

 毎日少しでも微笑むというのは、実に難しいものである。人生は順風満帆とはいかないが、困難や挫折に遭ったとき、楽観的で闊達であり、自信に満ちた心理状態を維持することができ、最も苦しいときでも微笑みを忘れることがなければ、平凡な日々を活力に富んだものに変え、重苦しい生活を気楽で活発なものに変え、ときには、苦難の時間を心地良く貴重なものに変えることさえできる。

 

 ユダヤ人で著名な精神分析学者ビクトール・E・フランクル博士はかつて、ナチスドイツの強制収容所でひどい拷問を受けたことがある。その血生臭く殺戮が繰り返される場所では、全く人間性も尊厳も見られず、毎日多くの女性、子供や老人が虐殺で死んでいった。フランクル博士も毎日、極度の恐怖の中で生活し、内心に極めて大きな精神的圧力を受け、巨大な精神的苦しみに耐えていた。

 

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