火山国日本で拡大が期待される地熱発電。しかし、なかなか量が増えない。地元との調整、投資回収の不透明さが課題だ。問題を克服し、地域と共に小さいながらも着実に成長するふるさと熱電(熊本県小国町)を訪ね、その歩みを聞きながら地熱発電拡大のヒントを探った。
なぜ地熱発電は伸びないのか
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の調査では、現時点で日本の地熱発電所の設備容量は20カ所、発電設備容量は57万kW(キロワット)、発電量は2019年で2472GWh(2019年、ギガワット)だ。これは大型石炭火力1基分、発電量としては日本全体の0.02%にすぎない。
経産省・資源エネルギー庁の評価によれば、日本には、約2347万kW分の発電ができる地熱資源があるという。それなのに利用されないのはなぜか。経産省は、2019年の評価で「調査に多くの費用を必要とするものの十分な量の蒸気を安定的に採取できるか明確でなく」「開発期間が長期にわたること等の事業リスクがある」という。
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ジャーナリスト。経済・環境問題を中心に執筆活動を行う。時事通信社、経済誌副編集長、アゴラ研究所のGEPR(グローバル・エナジー・ポリシー・リサーチ)の運営などを経て、ジャーナリストとして活動。経済情報サイト「with ENERGY」を運営。著書に「京都議定書は実現できるのか」(平凡社)、「気分のエコでは救えない」(日刊工業新聞社)など。記者と雑誌経営の経験から、企業の広報・コンサルティング、講演活動も行う。
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