「あなたのお母さんがひっきりなしにをしているのが聞こえるわよ。何かの病気に罹ったのか、ちょっと心配だわ」と、実家と付き合いのある近所の人から電話がかかってきました。当時、私は実家から離れた南方の街に住んでいました。今までほとんど病気を患ったことのない母がどんな健康状態にあるのか、私にはまったく想像もつきません。翌日、私は急いで母のいる実家に戻りました。

 

実家に着くと、すぐに母を病院へ連れて行きました。検査の結果、母の病名は肺炎でした。発見が早かったので大事には至りませんでしたが、少しでも遅れていたら、年老いた母の身体は持ち堪えられなかったでしょう。

 

母は咳をしながら、「私は大丈夫よ。数日休んだらすぐ治るわ」と、私に言い続けました。私は母の言葉を無視し、無理やり入院させました。

 

一週間程入院すると、母はお金がもったいないからどうしても家に帰りたいと言い張り、渋々私は母を退院させることにしました。

私はしばらく実家で母の看病をすることにしました。母が健康になるのをこの目で確かめたかったし、ある程度自由のきく広告デザイナーだったので、実家で仕上げた仕事をパソコンから会社に送信すればいいと思ったからでした。

 

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