1820年のフィレンツェ、アトリエに籠っていた画家ドミニク・アングルは非常に悩まされていました。

 

アングルは新作のためのモデルを友人のアブラハム・コンスタンティンに頼もうとしましたが、まさか拒否されるとは思いもしなかったのです。その作品はフランス政府の内務省から依頼された、アングルにとって非常に大事な一作でした。それこそ、後の『ルイ13世の誓願』と呼ばれた作品で、聖母マリアの前に跪いたルイ13世が、跡継ぎの子が生まれたなら、フランス王国を聖母に捧げるという誓いを立てる光景を描いています。

 

そして、アングルはこの作品を、20年ぶりに故郷へ戻ってきた記念作として描くつもりでした。そのため、腕によりをかけてしっかり描かなければならなかったのです。

 

しかしコンスタンティンは断固として拒否しました。それはなぜだったのでしょうか?

 

なぜなら、アングルはコンスタンティンに幼児イエス・キリストを抱えている聖母マリアのモデルを頼み、その上、精確に人体の構造を描くために、長時間、全裸でポーズすることを要求したのです。

 

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