息子が重度のアトピーと診断されたのは、彼が1歳のときだった。

 

 強烈なかゆみのために、自分で何度も掻きまくった息子の顔はパンパンに腫れ上がり、足の皮膚は血だらけとなった。「どうして私の子だけがこんな目に」と思いながら、泣き叫ぶ息子を抱いて、私も毎日泣いた。医師の出す薬も効かず、息子の夜泣きも止まらなくて、私は限界に達していた。

 

 ある日、知り合いのおばさんからこんな話を聞いた。「子供は、母親の体に溜まった毒を受け持って生まれてくると言うわよ」

 

 その言葉が私の胸に響いた。だとすれば、息子は私の身代わりになって、この小さな身体で私の「毒」を引き受けて生まれてきてくれたのか。現代医学で言えば、遺伝やアレルギーの一言で片付けられてしまうもの。その「毒」の存在は私には見えないけれど、体の奥に潜んでいた私の中の悪いものって何だろう、と真剣に考えた。

 

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