序文

 

百年余りに亘って世の中を騒がせてきた共産主義運動が人類にもたらしたものは、戦争、貧困、血生臭さと専制だけであったが、ソ連と東欧の共産党の崩壊により、この世界に害を及ぼしたでたらめな芝居も前世紀末には終焉へと向かい、今では、庶民から党の総書記に至るまで、共産主義のたわごとを信じる人は誰一人いなくなった。

 

「君権神授」でもなく「民主選挙」でもない共産党政権は、自らが生存の拠り所としていた信仰が完全に消えうせた今日、その執政の合法性もかつてない挑戦を受けることとなった。

 

中国共産党(中共)は、歴史の潮流に従ってその表舞台から退くことを拒み、逆に数十年に亘る政治運動の中で蓄積してきた、邪悪の粋を集めた各種の無頼手段を振るうことにより、合法性を探り、起死回生を図るための狂気のごときあがきを始めた。

 

改革にしろ開放にしろ、中共の目的は、ただ単に集団の利益と独裁政権を必死に維持することである。中国のこの20年間の経済発展、つまり、中国人民が依然として厳しい束縛の中で辛労を重ねて獲得した果実は、中共に刀を捨てさせることができなかったばかりか、逆に執政の合法性の資本として奪い取られてしまい、その一貫した無頼行為をいっそう人々を惑わす欺瞞的なものにしてしまったのである。

 

最も恐れるべきことに、中共は全力を傾けて民族の道徳的基盤を破壊し、全ての中国人を大なり小なり無頼の徒に変えて、共産党のために「時代とともに変化する」生存環境を確保しようと企んでいる。

 

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