現代の名医である張錫純氏は、自身の中国医学書『医参録』の中で、自身の歯痛が治った短い物語を語っています。この話から、胃の熱に由来する典型的な歯痛があることがわかります。胃の経絡から熱を取り除くことによって、激しい痛みが消えるのです。

 

  風邪の後の歯痛

 

著者の話によると、彼はもともと体力があり、これまで歯痛に悩まされたことはありませんでしたが、ある年の旧正月の前、天津から故郷に戻る際、思いがけず風邪を引いてしまいました。家に着いて暖かくしてベッドで寝ていると、やがて心に熱を感じ、次いで左側の歯が痛み始めました。

 

漢方医である彼は、風邪を引いたとはいえ、まだ時期が早く、菌が体の奥まで浸透していないことを経験的に知っていたので、汗をかいて風邪を追い出すことにしました。そうすれば、歯痛も治るかもしれないと思いました。今まで歯痛に悩まされたことがなかったため、仕事の疲れや、忙しく走り回ることにより、精神的な緊張からくる体内の熱を無視してしまっていたのです。それはただの感染症ではありません。急に風邪をひいたからこそ、胃の中の熱があらわになったのです。

 

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