序文

 

文化は一つの民族の魂であり、人種や大地などといった物質的な要素と同じく重要な精神要素である。

 

民族の文明史はその民族の文化発展史でもあり、民族文化に対する徹底的な破壊は、その民族の消滅であるとも言えるだろう。人類の歴史上、すばらしい文明を創り出した民族は、現在、その人種としてその子孫がまだ残っている.が、民族としてはその伝統的な文化が失われるにつれてだんだん姿を消してしまった。世界各国を見ると、中華民族は唯一五千年の文明を受け継いでいる。それゆえ、その文化に対する破壊はさらに大きな罪となるに違いない。

 

「盤古は天地を開く」[1]、「女 (じょか)は人間を造る」[2]、「神農は百草を嘗める」[3]、「蒼頡(そうけつ)は文字を造る」[4]などの伝説は神が文化を伝える当初の様子を私たちに伝えている。「人法地、地法天、天法道、道法自然(人は地に法り、地は天に法り、天は道に法り、道は自然に法る)」[5]では、天人合一という道家の思想を文化に織り込み、「大学之道、在明明徳(大学の道、明徳を明らめるに在り)」。[6]二千年前の孔子は初めて学校を開き、儒家思想を代表する「仁、義、礼、智、信」を社会に伝えた。紀元1世紀、「慈悲済度」を訴える仏教は東へと伝わって行き、中華文化はさらに豊かになった。儒、仏、道三家の思想は互いに照り映し、盛唐時代、世界中の人々からそれぞれの素晴らしさが注目された。

 

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