まだ小さな子供が熱を出すと、多くの親は心配になる。医者のところに連れていき、熱を下げる薬を要求する親が多いと聞く。はるか昔、自分がまだ子育て世代のころ、近所のある小児科医は「熱をすぐに冷ます薬を出してくれる良い先生」と評判だった。それは、新聞社を辞めてフリージャーナリストとして活動を始めたとき、地域社会で直接見聞きしてきたことだ。子供の発熱に耐えらない親は、すでに私の世代から始まっており、強い解熱剤を処方する医者が良い医者だとされていた。

 

かつては自然のなかで、自然とのつながりを大切にして生きてきた人間は、いま、多くが自然とは切り離された都市文明のなかに生きている。子供が発熱したとき、その状態を「自然の側」から見るのか、「都市文明の側」から見るのかで、対応策はおそらく真逆の答えになるのだろう。都市文明の側から発熱を含めた「病気」を見ると、おもにそれは西洋医学の視点ということになるが、薬で症状を抑え込む方向になる。いわゆるバイキンを避け、塵や埃を避け、どこまでも無菌状態を求めていく。

 

イメージ写真 富士山と麓の都市 Yoshitaka / PIXTA(ピクスタ)

 

一方で、昔は「自分の子供には解熱剤を飲ませない」と明言する小児科医もいた。私たち夫婦は、そのアドバイスに従う側にいた。そして、それは現在の自然農法の研究にもつながっているし、子供の発熱を「自然の側」から見ることに、何ら疑いを持つこともない。そしていま、5歳の女の子を筆頭に7人の孫がいて、若い親たち(私たちの子供)は、やはり「自然の側」から子育てをしている。それも、私たちのころよりも、もっと強く自然とのつながりを大事にしているので、その効果は、「孫たちが呆れるほど病気をしない」という状況に現れているようだ。

 

ちなみに、5歳の孫娘も発熱は経験している。39℃代の発熱がこれまでに2~3回だったと記憶している。そして、早ければ一晩、長くても3日で回復する。しかも、熱があっても、同世代の元気な子供たちより活発に動いていたというから、「自然の側」に立って子育てすることが、やはり大切なのだと確信している。もちろん、ほかの孫たちも同じように元気に育っている。彼らは生まれてから薬を使ったことがない。

 

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