中国安義出身の宋漢唐は、かつて殷県の役人であった。宋漢唐が言うには殷県には文学的に非常に優秀な秀才がいたが、出世には困難も多く、試験にも合格出来無かった。

 

しばらくすると、その秀才は重い病気に掛かってしまった。闘病中はぼうっとしていて、役所に来た夢を見たようだったが、彼はそこはどうも冥界のようだと感じていた。

 

その時、向こうから官服を着た者が通り掛かって来て、秀才が見ると、昔からの知り合いだった。彼は知り合いに急いで「私はこのままでは死んでしまうのではないか」と尋ねた。役人はあなたの寿命はまだ切れていないが、天禄(天の恵み)はもう切れてるから、もうすぐここに来るだろうと言った。

 

秀才は唖然として「私は学堂で学問を教える事で一生を過ごして来た。天罰を受ける様な悪い事などした覚えも無いのに、何故、天禄がもう切れたと言うのか?」と言った。

 

すると役人は溜め息をつきながら、こう言った。

 

「あなたは教にしては子供の勉強や道徳にも関心が無かった。冥界では何もしてもいないのに厚遇されるのは、盗んだのも同じ、あるいは穀物を浪費することに等しいのだ。その分は給与から差し引いて補わなければならない。だからあなたの寿命が切れる前に天禄が先に切れてしまったのだ」

 

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