昨年7月2日、KDDIで大規模な通信障害が発生し、3日間、auやUQモバイルが使用できない状態に陥った。その二日後には7月4日、ロシアと中国の軍艦が相次いで尖閣諸島の接続水域に進入した。このような事態に対し、自衛隊の情報通信関係の将校として勤務していた筆者は中露共同の妨害工作の可能性を示唆する。また、昨年暗殺された安倍元首相について、対露関係では考慮してきた安倍氏への「裏切り」の念を露側が抱いていた可能性があるとして、事件要因を分析する。

 

  ロシアのサイバー戦

 

安倍元総理が暗殺される6日前、すなわち昨年7月2日にKDDIで大規模な通信障害が起こり、auやUQモバイルなどが3日間、使用できない状態になった。そしてこの通信障害の最中の7月4日にロシアと中国の軍艦が相次いで尖閣諸島の接続水域に進入した。

 

尖閣の接続水域には、中国の公船がほとんど常時居座っているから、何が問題か分からないという方もいるかもしれない。だが尖閣の接続水域に居座っている中国の公船は海洋警察であり軍艦ではない。中国は日本と戦争になることを避けて軍艦を乗り入れないのが普通なのである。

 

そしてロシアの軍艦もここに乗り入れないのが普通だったのに、この日に限って中露そろって乗り入れたのである。中露の対日共同軍事作戦だったとしか言いようがない。

 

昨年7月の通信障害がロシアのサイバー攻撃かと疑われるのには、わけがある。昨年2月26日にトヨタの部品メーカーがサイバー攻撃を受け部品供給がストップしたため翌3月1日にトヨタ全体が操業停止に追い込まれた。2月25日に岸田内閣は対露追加制裁を決断したので、その報復としてロシアがサイバー攻撃を仕掛けたのではないか、との疑念が取り沙汰された。

 

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