「雪梅(せつばい)」と題する漢詩がある。南宋の詩人、方岳(ほうがく)の作である。
有梅無雪不精神、有雪無詩俗了人、薄暮詩成天又雪、與梅併作十分春。
訓読は「梅有りて雪無くば、精神ならず。雪有りて詩無くば、人を俗了(ぞくりょう)す。薄暮、詩成りて天また雪。梅と併せなす、十分の春」となる。
「梅があっても雪がなければ、生き生きとした風景にならない。雪があっても詩ごころが起きなければ、人(作者自身)を興ざめさせてしまう」
「夕暮れ時、詩がひとつ出来上がったら、おや、また雪が降ってきたよ。梅と併せて、これで十分な春の興趣となったなあ」
雪のなかに咲いた梅花は、ことのほか清らかで凛々しく、美しい。
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