2.気候変動の「共通認識」という神話(続き)

 

 a. 「共通認識」に反論する科学者たち

 

既述したように、気候変動の主な原因が人類の活動なのか、また気候変動が将来どのような影響を与えるのかについて、科学者たちはさまざまな見解を持つ。見解にばらつきがあるのは理由がある。第一に、気候変動に関わる分野は非常に多くて幅広く、かつ複雑である。天文学、気象学、エコロジー(生態学)、光化学、分光法、海洋学、またその他の分野が含まれる。さらに、気候は地球の大気、水圏、生物圏、岩石圏など、相互作用する下部組織を含む。気候には多くの物理的、科学的、生物学的なプロセスが存在するが、われわれはそのほんの一部しか分かってない。

 

地質学的な歴史を見ると、地球は度重なる地球温暖化を含めて、一度も気候変動を止めたことがない。3千年以上前、古代中国の殷の時代、中原(華北平原の一部)は亜熱帯気候だった。当時の甲骨文字は、人々が象を狩る様子を伝えている。当時の平均気温は現在より2度高かったと推定されている。また、唐の時代(626-907)にも温暖な時期があり、中国北西部にあった長安の都に柑橘類の実が成ったと伝えられている。【1】 西洋では、950~1250年の温暖期に、中世ヨーロッパ人が非常に精巧な建築物を建設している。【2】

 

地質学の記録によると、およそ1万1270年前、北半球は急激に温暖化し、平均気温は数年でおよそ4度上昇した。また、およそ1万1550年前のヤンガードリアス期(更新世の終わりのヨーロッパの気候区分)には、平均気温が数十年で10度上昇している。【3】 これらの気候変動の原因については、いまだに科学者の間で議論が続いている。

 

【続き】

 

 

 
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