張飛が怒りで督郵に鞭打つ話は、『三国志演義』の第二回に出てくる有名な話です。この話は、張飛の正直さと正義感、民衆のために悪を排除する勇気を示すためだけではなく、漢霊帝時期に、「十常侍」と呼ばれる宦官たちが宮廷を掌握して好き勝手に行動し、皇帝を欺き、忠誠心の強い官吏や将軍を陥れたり排除したりする現象を詳しく描写している典型的な場面です。しかし、その目的は、暗い現実を暴くことではなく、後漢がやがて分裂する危機に直面している様子、及び英雄たちが続々と現れることを予感させることにあります。

 

  督郵とは?

 

この物語を紹介する前に、まず督郵とは何の官職かを理解しなければなりません。督郵は、漢時代に郡の長官である太守のもとに属する小さな官職ですが、各郡の役人を監視したり弾劾したりする権限を持っています。彼らは、太守に代わって郡の役人を検査し、刑罰を確認し、司法の運営を監視する役割を担っていました。各郡はいくつかの部分に分かれていて、それぞれに督郵が設置されています。(例:西部督郵、東部督郵など)。漢霊帝の時代には、督郵に務める人々の多くは「十常侍」の地方での手先となりました。彼らはその権力を利用して、各郡の役人を脅し、賄賂を集め、善良な人々を強圧しました。

 

【続き】