序文 

 

2001年9月11日朝、テロリストにハイジャックされた飛行機がニューヨークの世界貿易センターとワシントンの国防総省本庁舎(ペンタゴン)に突入し、およそ3000人が死亡した。アメリカ本土がこのような大規模な攻撃を受けたのは、日本軍によるパールハーバー襲撃以来、初めてのことだった。9.11は世界中に衝撃を与えた。アメリカは「対テロ戦争」を掲げ、アフガニスタンのイスラム政権とイラクのサダム・フセイン政権を打倒すると宣言した。

 

アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディンが連日メディアで報道され、誰もがテロについて知るようになった。しかし、テロと共産主義が密接に繋がっていると気づいた人は少なかった。

 

「テロリスト」または「テロリズム」という言葉が最初に登場したのは、1795年である。フランス革命の後に起きた「恐怖政治」(Reign of Terror)が語源である。これが共産主義運動の基礎を築いた。【1】 (第二章を参照)

 

今日、世界で起こるテロの形式は主に三つである。共産主義政権下の国家テロ、暴力的な革命を目的とした共産主義スパイによる外国でのテロ活動、そしてイデオロギーと手法を共産主義から借用したイスラム過激派によるテロである。

 

 1.共産主義政権下の国家テロ

 

共産主義の世紀は虚言、暴力、殺人に満ちている。特に、テロは共産主義イデオロギーを世界に拡散するための重要な手法だった。共産主義政権が樹立すると、例外なく国家機関を総動員した残虐な恐怖政治が始まる。この政府主導の抑圧が国家テロである。

 

【続き】