法輪功の創始者、李洪志氏が2023年の新年に著したメッセージを読み、氏の強い信念と人類愛を感じました。いま、私たち人類が遭遇している多くの問題は、ひとえに人間が自ら起こしていると言えるでしょう。天然資源の浪費、環境破壊、病気、貧困、犯罪。世界のどこを見渡してもまるで”地獄絵図”のように私には見えます。

 

古くから私たちには道徳観が教えられてきましたが、実は道徳を実践することがいかに難しいかの裏返しであろうと思います。どうも人間には、「いまだけ、金だけ、自分だけ」と揶揄される弱さが誰にもあるのでしょう。私自身も、うっかりすると「我が身を守るスイッチ」が入ります。そこで氏はこう説きます。

 

「生きている間は、生活の貧富に関わらず、必ず良い行いを積み、悪事を働かないようにするとともに、善良さを保ち、天を敬い、神を敬い、人を助けることを自己の喜びとするのです。」私は、このことに強く共感します。しかし、人間の価値観や考え方は、よほど大きな困難に直面しない限り、そう簡単に変わることはありません。となると、世界が破滅するそのときになって多くの人は気づき、反省するのかもしれませんが、それでは遅いのだと私も思います。

 

このことは、一見すると出口のないトンネルのように見えますが、いま私はひとつの明るい可能性を頭に描いています。それは、地球や大自然に対して感覚のチャンネルを開き、地球と一体感を得るための方法が見つかったかもしれないからです。地球や自然との一体感は言葉にできない不思議な力があります。いわゆる解脱の状態というか、昔なら厳しい修行の末に会得できた感覚と言えるのかもしれません。

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横内 猛 

横内 猛

自然農法家、ジャーナリスト。1986年慶応大学経済学部卒業。読売新聞記者を経て、1998年フリージャーナリストに。さまざまな社会問題の中心に食と農の歪みがあると考え、2007年農業技術研究所歩屋(あゆみや)を設立、2011年から千葉県にて本格的な自然農法の研究を始める。肥料、農薬をまったく使わない完全自然農法の技術を考案し、2015年日本で初めての農法特許を取得(特許第5770897号)。ハル農法と名付け、実用化と普及に取り組んでいる。 ※寄稿文は執筆者の見解を示すものです。