目次 

 

序文

1.先進欧米諸国:こっそりと実施される共産主義
a. 高い税金と寛大な社会保障
b. 政府の積極的な経済介入
c. 共産独裁体制へのステップ―社会主義経済

2. 暗黒の社会主義―中国共産党
a. 中国経済:共産支配の締め付け
b. 中国の経済成長の真相
c. 中国型経済成長の末路

3. 社会主義による先進国の荒廃
a. 東ヨーロッパに出没する社会主義
b. 発展途上国で失敗した社会主義経済

参考文献

 

 序文

 

150年前、カール・マルクスは『資本論』の中で、私有財産を廃止し、代わりに国有化することを主張した。1世紀が経ち、共産主義の国有化政策を実施する国は世界の3分の1を占める。

 

1991年のソ連邦崩壊前後、多くの東ヨーロッパ諸国が資本経済へ移行するための「ショック療法」を導入した。共産党政権ではなかった国々も多かれ少なかれ社会主義を実施していたため、早急な市場改革を迫られた。

 

共産主義や社会主義経済を放棄した国々を見ると、共産邪霊の企みは一見、失敗したかのように見える。しかし、現実はそんなに単純ではない。邪霊のルールは変幻自在である。その手法や形式は継続的に変化し、各状況に合わせて実行する。ある政策が批判されたり、廃止されたりしても、それは次の目的のための布石である。経済において、これほど典型的な例はないだろう。

 

共産邪霊は世界征服のために、ずっと前から攻撃を開始している。現行の経済システムと、その背後にある実態を詳細に分析してみれば、共産邪霊が隅々にまで張り巡らした入念な按排に気づくはずである。希望を与えるような計画や政府への盲信が膨張すれば、世界はますます自由市場経済から遠ざかる。各国は基本的な道徳を失い、共産主義に引き寄せられていく。われわれは現実に目覚め、早く対抗措置を取るべきである。

 

 1.先進欧米諸国ーこっそりと実施される共産主義

 

マルクスは『共産党宣言』の中で、共産主義の理論は一言で要約できると述べた。つまり、私有財産の廃止である。個人的には、「ブルジョワジー(資本家階級)の個性、ブルジョワジーの自立、ブルジョワジーの自由の廃止」を意味する。社会的には、「プロレタリアート(労働者階級)がその政治的優位な立場を利用して、徐々にブルジョワジーから資本を奪い、生産機関を国家に集中させること。つまり、支配階級であるプロレタリアートが掌握する」ことである。【1】

 

この目的のために共産国家で繰り広げられたのは、暴力と大量虐殺である。しかし、暴力的な共産主義が嫌悪されるようになると、今度は別の形式(社会主義)が考案された。この「社会主義」は変貌しながら社会の隅々に浸透したため、それを識別することは非常に難しい。

 

欧米諸国が実施している経済政策は一見、社会主義とはなんの関係もないように見える。形式も名前も「社会主義」とは言わないが、その中身は規制、弱体化、私有財産の略奪である。それは自由企業を弱め、政府の権力を増大し、社会主義へと誘導する。主な手法は、高い税金、寛大な社会保障、過剰な政府の干渉である。