私たち人類の歴史をひも解くと、とても興味深いことがわかる。人類の祖先が道具を使い始め、知的生物として進化し始めた「石器時代」の末期、日本は独特の文化を育んできた。それが「縄文時代」だ。縄文時代は年代の幅が紀元前17,000年~紀元前1,000年とかなり長期間におよぶ。そして、何といってもその大きな特徴は、「人々が争うことなく、自然とともに幸せに生活し続けてきた」という歴史的事実だろう。

 

縄文時代といえば、社会科で無理やり暗記させられた「竪穴式住居」を思い出す。竪穴式住居の遺跡は各地にある。子供のころ社会科見学で近くの遺跡に行った記憶はあるものの、何のために見学したのか、さっぱり意味が分からなかった。日本の学校では、縄文時代は単なる原始時代の記録としてしか学ばないのだ。いまでこそ、私が教師なら、縄文時代の素晴らしさを子供たちに伝えようと必死に頑張るだろう。縄文の知恵こそが、人類に残された究極の至宝だと考えているからだ。

 

さて、人類の歴史は「類人猿」といわれる初期のころから通算すると700万年もの時間を生き抜いて進化してきた。その過程で、ごく初期の石器を使い始めたのが200万年前。火を使うようになったのは100万年前。さらに道具が洗練されて、やがて「青銅器」を使い始める紀元前3,000年前ごろまで石器時代は続いた。人類が使う道具は、青銅器からさらに「鉄器」へと変化し、ここから爆発的に道具が進化し始めたと言われている。日本は少し遅れて紀元前800年ごろに大陸から青銅器、鉄器がほぼ同時期に流入したと見られ、ここから弥生時代に移る。