もう街角にはイルミネーションが灯りはじめている。
心の中をキラキラと映し出すように。。。
毎年、この季節になると人恋しくなり肌と肌を寄せ合い恋人のぬくもりを感じていたくなる。
仕事が終わり駅に向かう途中、路上にはストリートミュージシャンがポツリポツリ。
駅に近づくにつれて、だんだんと増えていき恋歌が響き渡り やがて、吸い込まれるように耳を傾けた。
バラードからポップまで、ギターの音色と共に流れるように私の心に届く。
そして、恋の炎を揺さぶる。都会の街路地には何かを求め、自分探しをしている人で溢れかえっていた。
そんな心地よい余韻にひたりながら一人でバーへ。
店のオーナーは、気心しれた人。いつも、私にあわせてカクテルを作ってくれる。
グラスに浮かぶダークチェリーが私の心を染めていく。
『ROSE、この前言ってたSergio Rossiのパンプス買ったの?』
オーナーが尋ねてきた。
『欲しいのが3足あって、迷ってるんだぁ。』
と私が答える。
『彼に選んでもらったら?』
オーナーは私の気持ちを察していたのか私の目を見ながらそう言った。
『。。。うん。』
涙が溢れてきて、抑えていた感情が涙となって一気にフラッシュバックした。
冷たいはずのカクテルが熱くなってく。テーブルに滴り落ちる涙を吹く余裕もない。
オーナーは私の背中にトレンチコートをかけ、肩をそっとさすった。
言葉は何もなかったけど、『無理しなくていいんだよ。素直になりなよ。』
そんな声が伝わってきた。
店内にはルーサー・ウ゛ァンドロスの曲が漂っていた。
カウンターには私と孤独をまぎらわしてるキレイな女性。。
まわりを見渡せば、頬を染めた女性たちが散らばり孤独を満喫していた。
一人の女性が私に乾杯のジェスチャーをしながら微笑みかける。
彼女までも私の気持ちを察してくれたのか。。
店内の薄暗い明かりの下で、私は、彼への想いを見つめなおしていた。
彼のことを愛し、彼も私ことを愛していてくれる。
なのに、なのに。。。それは、揺らいでしまった気持ちが後ろめたくて申し訳なくて。。。
いつもならストレートに表現できたことも、Evanのことがひっかかり
なんだかぎこちなくて、そんな自分の気持ちが許せなかった。
自分の中で整理したから、まっすぐな心で彼とやっていける。
そう思っていた。
けど、そのことに触れられると感情が高ぶってしまう。
時計の針が21時をまわり私は、Evanのことを彼に話すことを決心した。
もうEvanとは何もない。
だまっていればいいのだろうけれど、心に嘘をついている方が辛い。
ついていい嘘もある。。そんなの気休めだ。
彼なら、わかってくれる。わかってくれるよ。
オーナーが背中にかけてくれたトレンチコートが、やけにあたたかい。
『コーヒー入れようか?』
タバコを吹かしながら、オーナーが言った。
『うん。濃い目でお願い。』
いつもは何も言わずにカプチーノを持ってきてくれるのに
いつもと違う気遣いがありがたかった。
『味はどう?濃すぎない?』
心配そうな顔のオーナー。
『ちょうどいいよ。』
いつものカプチーノとは違うほろ苦さが広がった。
『なんかすっきりした。また、来るね。』
会計を済ませ、トレンチコートをはおいながら私は言った。
『いつでもおいでよ。大歓迎だよ。俺は応援してるからさ。』
少し照れながらオーナーがそう言った。
『ありがとう』
笑顔の私がそこにいた。
店内を出ると、冷たい風が肌をさす。辺りはすっかりと静まり空を見上げると、月と星が灯り煌々と輝いて
た。来月には大きなChristmas Treeがそびえる場所に私は立ち心の中でつぶやいた。
『今年もこの場所でChristmas Treeを眺めたい。』
今度のデートでSergio Rossiの靴、買いに行こう!
彼と二人で・。*★