「エステ、よく行かれるんですか?」
初訪のお店ではだいたい訊かれる。
「あ、うん。時々・・・ね」
何が時々だ。最近は朝歯磨きをする回数よりも、エステに行く方が多い月が続く。
完全に病んでいる。
四谷サムタイムはマイナーなお店だ。華やかな代官山「すべてのもの」や、
ムチムチ系の揃う小伝馬「あなたと一緒に」といった系列店と比べると、これといった特徴がない。
ホームページを開き、系列セラピストの年齢、身長、スリーサイズと比較してあたりをつける。
ここの予約は、ツイッターでどのセラピストが何時からと何時からが予約可能です、と書かれていて
非常にわかりやすく、いちいち電話で確かめる煩わしさがなくてありがたかった。
電話応対は中国訛りのママさんだったが、丁寧な対応で、まったく問題ない。
四谷は途中の地下鉄の接続がよく、ストレスなく駅に着く。
新宿通りのドトールで時間調整していると、突然大きな雨粒が窓ガラス一面に広がる。
ここ最近では慣れっこだが、時間までには止んでほしい・・・。
駅からほど近い年季の入ったマンションの入り口を潜り、指定されたドアのインターフォンを押す。
ドアを開けたセラピストは、果たしてほぼ想像通りのきれいなルックスでした。
「事前リサーチはやはり大事だな」 この熱心さを仕事にもぜひ活かしてみたい。
部屋にはいると外から花火の音が。神宮球場でナイターをやっているようだ。
バレンティンがまた打ったかな。
インテリアは真っ赤なデザインチェアが目を引くが統一感がなく、部屋の古さと相まってちょっとちぐはぐだ。
自己紹介で名前を名乗るセラピスト。「ここの女の子は全員、阪神の選手の名前なんですよ」
あとでHPを見返してみると、なるほど、藤村や村山といった往年の名選手から、真弓、吉竹らの85年優勝メンバー、マニアックなところでは御子柴なんてのもいた。オーナー、かなり虎キチなのかな?
でも花形は違うでしょう?
施術はいたって普通で、マッサージが激ウマなわけでもなく、エロ具合も少なかったが、最初からわかっていたので十分に楽しめた。きれいなお顔と抜群のスタイルを眺め、そして話して癒されるセラピストが今は一番自分に合っている。それに、デコルテのとき「偶然」なんどもOPIが顔にあたって息苦しいくらいだった。これで十分。
「もうひとつのお店にもぜひ来てくださいね」「あ、うん、も、も、もちろんで」どもりながら答えてしまい、また巡回店が増えてしまった。
帰りは外に出て、廊下を曲がり終わるまで見送ってくれた。
こういうのに弱いんだよ。
また、来ます。
外に出ると、また少し降り出したようだ。僕は傘をささずに駅へ早足で歩き始め、周りに聞こえないようボソッと呟いた。
「次の新人さんは若菜とかどうですか?」
