日本でのショーを終えたANREALAGE(アンリアレイジ)。
15年間のデザインクリエイションの一つの総括といった、素晴らしい内容でした。
原点回帰、とも称されるこのショーのテーマ"DETAIL"は、森永氏の創作活動の基本となるコンセプト「神は細部に宿る」を表現したもの。

アンリアレイジのデザインワークは、パッチワークをはじめとした、ものすごく細かい作業の積み重ねで成り立ってきました。

織り合わせする、テキスタイルデザインと似たような、一つ一つの細かな作業の集合体こそが「神宿る」ということなのである。



その意味においては、大方の人は出来上がった成果物を見て大枠で判断されることが多い。
「分かりやすい」「売れそう」「人気を集めそう」に注目が集まりやすくなる。
そうしたアプローチも重要な評価の方法と言えるが、一方でその中に組み込まれている重要な意図やメッセージに、目が曇ってしまうことがある。


しかし、ぜひアンリアレイジのデザインを見るとき、
現代を読み解くキーワード「ものづくり」「てしごと」の視点で見る方法も、一つお勧めしたい。



その上で、なぜ細部にこだわり続けるのか?その真髄を見せ、細部に情熱を注ぎ続けているのか、
ある意味、そのことを披露するFashion Showでもあったと思える。



これまでのコレクションは、いわゆるハイテク素材を使用した、
「服でできる新しい価値の創造」を提案してきたと言える。

ストーリーになる服、服を通じて新しい世界を人と共有できる服が次々と生まれてきた。
そんなこれまでのこだわりを、拡大して(作品では300%に拡大するなど)発表したのが、今回のコレクションである。

タグの部分を拡大させてストールにしたり、大きなマネキンに服を着せてオブジェになっているのも興味深い。

これまでの作品があり、15周年を迎え、ある種の総括的なコレクションに、今回はなったのではないだろうか?


身近にあるDETAIL…航空写真の人文字を思い出して欲しい。
人がその色や並び方を変えて成立する世界が航空写真の人文字であれば、
一人一人がきちんと指定の様式で並んでいなければきれいな航空写真は仕上がらないだろう。
その、一人一人が「きちんと」並ぶ姿、その大切さにフォーカスしたものが、
今回のコレクションに表現されているとも言えないだろうか?