こんにちは。
ずいぶん前に「個性を出したいが、どういう声にしたらいいかわからない」というご質問がありました。その生徒さんが、昨日のレッスンでうまく自分らしさが出せるようになってこられたので、今日はそんなテーマです。
みなさんは歌に個性を出す、というとどんなイメージを持たれますか?たとえば、アニソンぽい声にする、とかミュージカルっぽくする、などある特定のジャンルに寄せていく、とか、他の人が出せないくらい高い声を出す、あるいは激しいパフォーマンスをする、などでしょうか?
わたしは、人はそれぞれ違う声を持っていて、一つとして同じものはないと考えています。
その人自身が持つ、本来の声が出せるようになったときにはじめて、本質的な意味での個性が出た、と言えると信じています。
さて、昨日の生徒さんは、もともと歌の上手な方で、音域も広く、声量も豊かな方です。特に困ることは無さそうに見えたのですが、色んな声が出るが故に、歌に個性を出したいがどういうアーティストやジャンルを目指したらいいのかわからないという悩みを抱えておられたのです。
たしかに、よく聞いてみるとどんなジャンルを歌っても「〜ふう」になる感じがありました。アニソン風、R&B風など、作為的になってしまう感じです。
昨日は、その作為的な「〜ふう」な部分が減り、ご自身らしさ、個性、が出てこられていました。
どんな練習をしてきたかお聞きすると「訥弁」(チャチュチョ)で歌う練習をされたそうです。訥弁で歌うと、本質的な母音が目覚めやすくなる、という作用があります。
ざっくり言うと、母音は、その人の内面と密接に繋がっているように感じています。また、作為的になる場合、子音で声を作ろうとしているケースが多いです。そういった意味で、歌に個性を出したい、と思っている方は、まず母音がきちんと鳴っているかをチェックしてみてください。
オリジナリティのあるパフォーマンスや曲作り、スタイル、といったものももちろん個性として大事ですが、唯一無二の自分の本来の声、といういわばアイデンティティの一部を大事にして欲しい、そんな風に感じています。