最近、女性だけど男性ボーカルの曲を歌いたい、という生徒さんが何人かいらっしゃいました。
個人的には、女性で男性ボーカルの曲を原キーで歌う、というのはあまりおすすめできないです。(できれば4つから6つくらいキーを上げる方がいいいいと思います。)
様々な理由がありますが、端的に言うと、無理に低い声を出そうとすると、力んだ地声になる方が多く、また質の良い裏声が出なくなりやすいからです。
質の良い裏声が出ないと、発声のための筋肉のバランスが崩れ、やがて声帯に負担がかかることが予想されます。
また、音楽的に言っても、その人の魅力が最大限に引き出せる音域で歌う方が、表現が豊かになり、聞いている人も楽しいはずです。
とはいえどうしても男性ボーカルの曲を原キーで歌いたい、と言う場合もあるかもしれません。
低音開発の方法はたくさんありますが、
①エッジボイス(シュナルレジスターとも)を出す。
エッジボイスは映画「呪怨」に出てくる声として例えられることが多いですが、
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
というガラガラした声のことです。
このエッジボイスはその人が出せる最低音とされています。レッスンでは痛い、痒い、といった症状が出ないように配慮しながら練習してもらっています。
ちなみにこのエッジボイスは、低音に限らず、発声のために必要な筋肉(いわゆる閉鎖筋)を効率よく動かす練習になります。
②クレヨンしんちゃんみたいな声を出す。
喉仏を下げ、後方にも引くようにイメージしてもらいます。音色のイメージはクレヨンしんちゃんの声みたいな声のイメージで、限りなく低く太い深くします。レッスンでは「マ」でドレドレドの音で出してもらっています。
力みなく深い声が出てきたら、その響きを太くてして、質の良い地声をどんどん出してみてください。
上述の2つは、発声練習として本当におすすめのメニューです。ですが、筋肉はバランス良く鍛えないと危険です。発声を全体的に整えつつ、この辺りを強化するイメージでやってみてください。
低い声もある程度は開発することが可能ですが、声帯の大きさにより限界もあります。くれぐれも無理をしないようにしてくださいね。
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わたしは過去、長い間、質の良い地声が出なくて悩んでいました。地声を出す、と思うと、喋る声を大きく張り上げることはできるものの、気張ったような声になってしまい悩んでいました。歌声に使えるような声が出なかったのです。
それが、バランスよく喉まわりの筋肉群を鍛えることで、やっと低音が出るようになりました。
男性ボーカルは女性よりも音域が広く、かなり低い音も高い音も出てくるので、声の自由度が高くないと難しいです。無理なく歌えるようになるには少し時間がかかるかもしれないですが、ちょっとずつ出来ることが増えるといいですね。