子供の幼稚園での様子を知ることができる保育参観。
その楽しいはずの保育参観で、私は過去にピンチに陥ったことがある。

その保育参観は、学芸会まであと数日に迫った日に行われた。
まず子供と一緒に簡単な工作をした後、子供を園庭で遊ばせ、保護者だけ部屋に残り学芸会の説明が行われた。

説明は、クラスの順番や衣装の紹介などであった。

息子の幼稚園では、学芸会で着る衣装はほとんど幼稚園で用意してくれるので、私は大助かりであった。
ちなみにうちの息子は、キツネを演じることになっていた。

学芸会の説明も終盤にさしかかった頃、先生がキツネ役の子供の親4人を前に呼び出した。

なんだろうと思って集まると、先生は、
「キツネの着るベストが幼稚園に3枚しかないので、この中の誰か、ベストを作っていただけないでしょうか?」
と言い出した。

おいおい、ちょっと待てよ!
ベストって、それが見本か?
そんなもん、私が作れるわけねーだろ!

キツネの親4人は、みんな「私は絶対ヤダ!」オーラを発している。
誰も立候補がいなくて(当たり前だ!)、困り果てたキツネの親4人と先生1人。

おい、4人もいて1人もベスト作れる人間がいないとは何事かあ?
という私も作れない。

ミシンも持ってないし、息子の幼稚園の巾着袋もランチョンマットも、実家の母に頼むか、購入という作戦をとっている。

私は正真正銘、洋裁ができない女なんである。(威張るな!)

そこで私は涙ながらに
「私、本当に作れないんです!ミシンも持ってないんです!」
と、こぶしを握り締めて力説した。
ふと横を見ると、公園時代からのお友達のママは、まるで貝のように口を閉ざし、一言もしゃべらなくなっている。

そんな私や貝人間に呆れ果てたのか、ある1人の方が
「私の義姉は、洋裁がプロ並みにうまいので頼んでみます。」
と言ってくれた。
ああ、もうあなたは女神様ですう。
ふう、助かった。

それにしても、その一部始終を見ていた先生、私のワガママぶり、しっかり記憶に刻み込んだに違いない。

後で聞いたが、そういう場合は伝統的にじゃんけんで決めるそうなんである。
伝統を打ち破る女、それは私だ。

次に先生は、保護者全員に
「皆様に、学芸会の舞台に設置する背景の色塗りをお願いします。」
と言い、大きな紙を床に広げ始めた。

その紙を見ると、1枚は大きな橋、もう1枚は大きなケーキが鉛筆で描かれている。

1人1人に絵の具用の筆が配られ、その紙の絵に指定された色を塗っていくことになった。

そして、私が1枚目の「橋」にとりかかろうとしたところ、もう紙のまわりに私の座る場所は残っていなかった。

というのも、他の親達、ものすごくヤル気マンマンで、すぐに熱心に色塗りを始めており、もう私の入り込む隙既になし、であったのだ。

何なんだ?この熱意は、と問い掛けたくなるほどみんな気合が入っている。

私がボーッとしてる間に「橋」は完成し、次は「ケーキ」である。

今度こそ私も参加せねば、と思いながら紙に向かい、なんとか場所を確保することができた。

もう既にヤル気マンマンパワーの人達によって、塗り終わっているところも多い。
私も筆を絵の具に浸し、塗り始めようと思ったそのとき、
ボタッ。
きれいに塗り終わっているところに、違う色をたらしてしまったあああああ!
「ヤベッ!」
つい口走った私。

すると
「ティッシュで拭けば?」
隣で絵の具を塗っていた人から、私に冷静なアドバイスが。
ああ、そうか、すぐに拭けば大丈夫、と思ったものの、部屋の隅においてあるバッグまでティッシュを取りに行くのが面倒だったので、そのまま放置。

大きな背景の中で、1滴ほかの色がたれてたところで気付く人はいまい。
もしかしたら、先生が直してくれるかも。
みんなが心を込めて描いている背景に対して、全く愛のない私であった。

保育参観も終わり、後は学芸会の日を待つだけとなった。

ところが、私の保育参観での振る舞いにバチが当たったのか、うちの息子、学芸会当日に熱が出て欠席してしまったのである。

私はショックのあまり、予定日でもないのに生理が始まってしまった。

やっぱり日ごろの行いが悪いとこういう目にあうのか?

でもベスト作って欠席よりましか?

 

 

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