保険実務、学界共に注目してきた裁判の最高裁判決。

有効説を採用しました。


最判平成24年3月16日

保険料の払込みがされない場合に履行の催告なしに保険契約が失効する旨を定める約款の条項の,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」該当性

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82127&hanreiKbn=02


判決文

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120316162941.pdf


最高裁は、消費者契約法10条前段に該当することを示した一方で、同条後段該当性については、債務不履行から失効までの期間が、催告の場合よりも確保されていること、自動貸付条項等の保険契約者を保護する規定が用意されていることに加え、さらに、督促の実務上の確実な運用があれば、消費者契約法10条後段該当性が否定される、としています。その上で、催促の実務上の運用が確実されていたかを審理・判断するため、無効と判断した原審を破棄し、差し戻しをしました。


条項を単に有効としたのではなく、失効までの猶予期間の存在、保険契約者を保護する仕組み、督促の確実な運用というハードルを設けているので、単純に有効に解したわけではないものです。


最高裁の結論は妥当と思いますが、督促の実務上の運用(私法上の義務ではない)の点も考慮に入れて、有効性を判断した点は、議論を呼びそうです。


この問題については、保険法判例百選79事件の解説とそこで掲げられている参考文献を参照。