平成23年新司法試験の採点実感では、各科目、答案の形式面についての指摘が多数みられました。

その中でも、公法系第1問(憲法)では、


「常に多くの文字数分も行頭を空けていて(さらには行末も空けている答案もある。),1行全てを使っていない答案が,多く見受けられた。答案は,レジュメでもレポートでもない。法科大学院の授業で,判決原文を読んでいるはずである。それと同様に,答案も,1行の行頭から行末まできちんと書く。行頭を空けるのは改行した場合だけであり,その場合でも空けるのは1文字分だけである。」


として、答案用紙の行頭(左側)をかなりあけて書く答案に対して、疑義が示されています。

(採点にどう影響したかは不明)

 

この指摘、実は前も試験委員からされています。

  

(平成20年)新司法試験考査委員(公法系科目)に対するヒアリング
http://www.moj.go.jp/content/000006999.pdf
 
「答案の書き方について,採点に当たった委員から問題が指摘されているので,受験生に注意を促す意味で,若干述べておきたい。答案用紙の左側,行頭を4分の1ほども空けて記載している答案がある。多くの字数分を空ける書き方は,場合によっては奇異な印象を与え,特定答案とみなされる可能性もあるということに留意すべきである」

 

試験委員から同じ指摘をされるのは、望ましいことではありません。

 

ただ、受験生がそのような答案を書くのは、受験生が独自で判断したわけではなく、おそらく答案練習の添削や指導の際に、「行頭(左側)はかなりあけること」と指摘されたことに起因しているのかもしれません。誰が始めたか知りませんが、旧試験時代から、左側部分をかなりあけて書くことは、「常識」の類でした。そのような「常識」をもった人たちが今、受験生を指導する側にたっていると思われるので、このような結果になっているのかもしれません。

  

採点実感等を受験生が必読であるのは当然のこととして、受験生を指導する側も、せめて司法試験の実施当局から公開されたペーパーに目を通して、指導に当たってほしいなと思います。