2011年も残りわずかです。
  
今年は「激震」の年だったと思います。東日本大震災、福島第一原発事故、暴力団との交流による大物芸能人の引退、大王製紙やオリンパス事件などの企業不祥事、北朝鮮の最高指導者の死去なとが挙げられます。また消費税増税方針決定のニュースも入ってきました
 
特に原発事故は、我が国のエネルギー政策の再考を求められたと思っています。他方で電力は国民生活に直結するため、脱原発だけでは問題は解決せず、仮に脱原発をとるのであれば、脱原発+α(代替エネルギー)がなければ、安心できません。しかし、原子力を全て代替できるエネルギーが見つからないのも事実であり、また昔ながらの火力・水力発電に頼るのも限界があります。国民の中に脱原発運動に違和感を覚える人がいるのは、代案を考えないまま、運動が進められていることにあるのかなとも思います(もちろん、代案をしっかり考えようとしている人もいます)。
 
大震災関係では、復興の促進が最優先であると共に、直接の被災地にならなかった地区は、大地震への対策が強く求められています。1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災と来ると、今度は関東・東海地方での大震災の可能性が頭をよぎります。いつ起きてもおかしくありません。東日本大震災は関東が震源地になったわけではありませんが、それでも首都圏は大混乱に陥りました。そうであれば、仮に関東・東海地方を直接の震源地とした巨大地震が来たら・・・と考えるとやはりぞっとするわけです。その意味では、時間はありません。
 
今回の災害や巨大事故からは、財産権のあり方、ボランティア活動への支援法制のあり方、事故調査のための法的権限、関係者の証言強制と免責とのあり方、原発事故と損害賠償の範囲ないし賠償スキーム、巨大企業の法的処理など、理論・実務の双方が考えなければならない法的問題は多数投げかけられています。これまで我が国では、新たな法的問題が発生すると、外国の例を参照することが多かったです。しかし、おそらく今回の問題は、外国には直接の答えはないと思いますし、例えあったとしても、外国の例が我が国の問題解決に適切な答えになるとは限りません。そうであれば、私たちが答えを見つけ出すと共に、世界に発信していくべきときが来ていると思います。「輸入法学から輸出法学」という戦略的視点を(も)持っても良いのではないか、と思っています。世界の人々のために、我が国の出来事や我が国が考えて出した答えが、世界の考える材料になってもよいと思うのです。
 
このように見ると、私たちは自分自身で問題を考え、1つの答えを選択し、解決していかなければならない時期に来ていると思います。これは困難なことです。しかし、この困難を乗り越えていかなければならない、そのように考えています。
 
長くなりましたが、今年も当blogをご覧下さいまして、どうもありがとうございました。
2012年が、みなさまにとって大変素晴らしい年でありますように。