(今更ですが)法学教室4月号(367号)


法学教室367号

http://www.yuhikaku.co.jp/hougaku/detail/018346


法学入門
◇はしがき・目次……2
◇〔鼎談〕高校から大学へ,入門から専門科目へ…大村敦志(司会)/道垣内正人/吉田俊弘……4
◇Ⅰ_条文を学ぶ…大脇成昭……21
◇Ⅱ_判例を学ぶ…大石 眞……27
◇Ⅲ_学説を学ぶ…鹿野菜穂子……34
◇Ⅳ_条文・判例・学説を調べる…町村泰貴……39


「Ⅰ_条文を学ぶ…大脇成昭」は、法律の勉強における条文の位置づけ、読み方を解説するものであり、有意義だと思います。条文の読み方は、授業等で明示的に解説されないこともあり、学習が進んだ人にとっても、発見があるかもしれません。


近時の法律の条文を見ますと、様々なことが書き込まれる傾向があります。身近では、六法の中に含まれる会社法がそうですし、実務的には重要な特別法(例えば、金融商品取引法)や行政におけるいわゆる個別法の条文の書き方は、民法や刑法とは異り、徹底的にルールが書き込まれています。民法も、(研究者の意図とは異なり)条文化の作業では、徹底的にルールが書き込まれる方針がとられるかもしれません。そうなると、条文を丁寧に読み、そこからルールを読み取る、という作業が、これまで以上に重要になってくるかも知れませんし、もうそうなっているのかもしれません。逆に言えば、条文からルールを読み取ることができれば、それで解決する、ということを意味するのかも知れません。


大学や大学院の外書講読という授業(外国語の専門文献読解)だと、これでもかと言うくらい、一言一句を徹底的に調べ上げ、かつ、その文の構造を文法ルールに従って、徹底的に解明した上で、日本語に訳する、という作業が行われてきました。それと同じく、条文も「精読」する時代に来ていると思います。


そういうことを言うと、「条文の細かい文言にこだわるのはおかしい」と言われるかも知れませんが、条文も外国語文献と同様に、私は細かいと言われようが、丁寧に読み込むべきだと思います。


4月から法科大学院に入って、新司法試験の合格を目指す(司法研修所への入所を目指す)人は、教科書よりも、徹底して条文を読んで、条文からモノを考える姿勢をまずは身につけて欲しいと思います。比喩的に言えば、六法が壊れるくらい、六法をひき、条文の文言、意味を味わって欲しいと思います。


例えば、会社法については、(最初は)あれこれ教科書とか、論文を読むのではなく、徹底的に条文を読み込む、ということが大切のように最近は考えています。あえて言えば、条文を読んで、それでルールが分かる人は、教科書を読む必要すらないのかもしれません(私などは無理ですが)。


なお、貴重な参考記事を以下に掲げます。基本書と同じくらい、条文の読み込みの重要性を、主張するものです。当たり前かと思われるかもしれませんが、ここまで踏み込んだ指摘は、意外に少なかったように思います。このような主張が、誰でも容易に読むことのできる、インターネット媒体に出ることは、大変素晴らしいことであり、村田先生に敬意を表したいと思います。


商法演習を受講するに際して - 商法・会社法の学習法 -
村田 敏一 教授(商法)
(立命館大学法科大学院ホームページ)

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/hoka/message/msg_shoho-enshu-1.htm