8.5点/10点

○惹きつけられるシナリオ
○豊富なサブストーリー
×戦闘システム

このゲームは「すごくレビューがし辛い」というのが正直なところです。良くも悪くも、期待を全く裏切らない内容だからです。貴方が「龍が如く」シリーズを全てやっているのなら、公式サイトやいくつかのPVを見て想像した「龍が如く3」そのものがプレイできると言っても過言ではありません。ただし、「良くも悪くも」と前置きしたように、今までに貴方が感じた悪い点が残っていたり、進化が少ないと感じる面もあると思います。

相変わらず、シナリオは非常に秀逸です。ストーリーの流れはもちろんのこと、こだわりが感じられる演出・カメラワークに、更に進化したビジュアルが加わって、長いカットシーンでも全く苦にならないほど、その展開・雰囲気に引き込まれます。中にはいくつか「それはｗ」とツッコミたくなる部分はありますが、「見参！」を含めたこれまでの3作品で構築してきた「龍が如く」の空気を逸脱するレベルではなく、むしろファンなら「これでこそ『龍』だよな！」と納得のいくものだと思います。
「龍」の売りのひとつでもあるサブストーリーはさらに充実しているようです。正確な数はどうなのかわかりませんが、少なくとも「サブストーリー探し」を全くしなくても、街を歩いているだけで次々にサブストーリーに遭遇するレベルで、その頻度は「見参！」を凌ぐように思えます。もちろん、サブストーリーは無視することも可能ですし、まずメインストーリーに浸りたいという人は、本編をクリアしたあとにサブストーリーを消化することもできます。
神室町や沖縄はマップ的にはそれほど広くはありませんが、とても雰囲気が良く作り上げられており、本作から加わった「主観視点」を使いながら街の様子を観察することも可能になり、街をぶらつく楽しみがさらに増した印象です。
本作ではミニゲームも多数追加されていますが「ゴルフ」「カラオケ」は特に出来が良いです。あくまでもミニゲームなのでボリュームが薄めなのは確かですが、それが残念に思えるほど本当に出来が良いということです。

個人的に感じた悪い点としては「戦闘」が挙げられます。全体的に見ると１，２よりはかなり良くなってはいますが、素手時の攻撃モーションが1作目からほとんど進化が無く、攻撃の繋ぎがスムーズではありません。PS3で格段に増したビジュアルとのギャップは埋めがたいものがありますし、この世代のほかのアクションゲームと比べるとかなり見劣りします。本作で更に増加・進化した武器のモーションはなかなか良いですし、戦闘時にマップ上に転がっているオブジェクトを利用して攻撃するなどの要素は相変わらず楽しいので、一番多く使うことになる素手のモーションだけはもうちょっと他のゲームを研究し、改良してほしいものです。アクションゲームとしても秀逸だった「デモンズソウル」の後ということもあり、戦闘時の駆け引き要素の薄さも少し気になりました。

まとめ
ゲームとしての驚きはありませんでしたが、短期間で作られたとは思えないほど、楽しみがたっぷり詰まった作品です。製作者側の「ユーザーを楽しませよう」という心意気がビシビシと伝わってきます。ヤクザを題材にしているという点は別としても、ゲームの作り自体は万人向けの作品と言えるでしょう。メインストーリーはクリアしましたが、サブストーリーやミニゲーム（とくにキャバつく）にやり残した部分は多々あるので、まだまだ楽しめそうです。

PS3 龍が如く3 レビュー

PS3　龍が如く3 レビュー