伝達・印象 -2ページ目

ロジックツリーとピラミッドストラクチャー

ロジックツリー(LT)ピラミッドストラクチャー(PS)については以前、簡単に説明しましたが、
一見、似たビジュアルなので混同している人も多い様に思います。
実際、インターネットで検索すると、
『ロジックツリー(ピラミッドストラクチャー)』と言う様に
同じものとして扱っているケースも多い様です。


一見同じ様に見えるLTとPSは、実は明確な違いがあります。
有効に使いこなせる様になるためにも、これらの違いを把握しておく必要があると思います。


乱暴にまとめてしまえば、
<LT>=問題発見や課題解決のためのツール
<PS>=コミュニケーションのためのツール
と言えます。
もちろん、これらのツールには活用による副次的なメリットも沢山あるので、
別の目的で活用するケースも多いと思いますが。。。


■構造から見た違い

先ずは、、、、
其々の手法(ツール)を「何故使うのか?」や「どう使うのか?」という観点から比較してみます。

それぞれの手法を一言で表現するならば、次のようなものになると思います。

<LT>
「目的となる考え(対象)を、構成する要素に分解していく手法」
<PS>
「主張が正しいと言えるために必要な、根拠の構成を組み立てていく手法」

LTは、ものごとを考え易い様に、構成する要素に細かく分ける手法です。
検討に際して焦点を当てるべき要素を探したり、何かを比較したい時に、
同じ土俵で比較できる様にブレイクダウンしていくものです。
したがって、どちらかというと「検討・思考」のために用いられます。

一方でPSは、何らかの主張(意見)をしたい時に、
その主張が「もっともだ」と思ってもらえる様に、主張を支える根拠に展開していく手法です。
「主張」という位ですから、他の人に伝えたい訳で、
どちらかというと「説明・説得」のために用いられます。


■構成要素の関係性の違い

一見、形は似ていますが、中身を見るとその違いがよく分かります。
<LT>繋がれた上下の関係は、グループと要素の関係
<PS>繋がれた上下の関係は、主張と根拠の関係

LTでは(直)上位のステートメントは、(直)下位のステートメントを取り纏めたものになります。
「取り纏める」という変な言い方を使っている理由は、ココにも種類が幾つか存在するからです。
例えば、、、、
 ・ グルーピング(『食べ物』-『肉、魚、野菜、果実、その他』)
 ・ 因数分解(『利益』-『売上げ、コスト』)
グルーピングでは、下位の要素が属する上位のグループという関係であり、
因数分解では、上位の要素は下位の要素を何らかのルールに基づいて合成した結果となっています。
「取り纏め方」はこの他にもあると思いますが、今回はこんなところで。。。。(^^;)


■MECE(ミーシー)という考え方の適用

MECEとは、「重複が無く、かつ、抜け盛れが無い状態」のことを言います。
LTではこのMECEという概念が非常に重要になります。

LTでは、分解する再に「MECE」な関係(お互いに重複がない状態)になる様に分解していきます。
こうすることで、更にその下部をMECEにしても、相対的に重複の無い状態が保たれることになります。

【LTにおけるMECEな状態】
$伝達派・印象派-lt


一方のPSでは、必ずしもMECEな状態でなければならないかというと、そんなことはありません。
PSの特性上、下層の方は主張を支える根拠として、
何らかの事実情報(ファクト)で構成される場合が多いと思います。
この場合には、
同じファクトが、上位の複数の根拠となっている場合には全体としてはMECEな状態ではなくなります。



■頭の使い方(主な思考の流れ・メインストリーム)

作業の進め方という意味では無いので、誤解の無い様に読んでいただきたいのですが、
一般的な人間の思考から考えて、「LT」と「PS」の頭の使い方は概ね次の様に分類できると思います。

<LT>
MECEを意識して、上位概念を下位の概念にトップダウン式に分解していく
<PS>
具体的な情報や観察事項から上位概念としてのメッセージを抽出していく

もちろん、どちらも論理的に成立するものですから、上から読んでも、下から読んでも良いわけですし、
作る場合には、トップダウン、ボトムアップを行ったり来たりしながら完成させていきます。


簡単にまとめてしまうと、実践としては
「分析、検討の段階ではロジックツリーを使って要素分解する」
「説明、説得をしたい場合にはピラミッドストラクチャーを用いて主張と根拠を明確にする」
ということになると思います。

【LTとPSの違い】
$伝達派・印象派-hikaku