まだ2022年12月分の厚労省人口動態統計速報が出ていませんけれども、超過死亡数は今年1月の自治体統計から推測するに、すさまじい数値になりそうです。

そんな中にあって、上昌広氏がこんな記事を書いていました。

「反ワクチン」の牽強付会は「国への不信」：上昌広 | 医療崩壊 | 新潮社　Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト新型コロナワクチン接種を危険視する記事が相次いでいる。切り取られた事実しか説明できない牽強付会なデータ解釈の続出は、日本という国家に向けられた国民の根深い不信を映している。

www.fsight.jp

この人、ダイヤモンド・プリンセス号事態で颯爽と登場し、学歴の素晴らしさも相まって、信頼している人も多いのではないかと思いますが、どうも実態を見ずに机上の論理で事に処しているような気がします。でなければ”経験の差”なんていい加減なこというわけありませんよ。

上の記事からの抜粋↓

主要国の累積超過死亡率（コロナ流行開始から現在まで）は、米14.1％、英10.0％、仏6.2％（昨年12月現在）だが、オミクロン株が主流となった昨年以降はほぼ横ばいだ。一方、日本の累積超過死亡率は2.0％（昨年11月末現在）と低いものの、コロナ流行当初から現在まで、ほぼ一貫して増加している。超過死亡の増加は、最近になって始まった話ではない。追加接種が主たる理由とは考えられない。

上氏は、日本は超過死亡率が低く、それもワクチンが主因とは考えられない、という従来からの持論を展開するのですが、これがどうもおかしい。

そもそも累積超過死亡率を採用するのが、腹に一物あると見られても仕方がないのではないでしょうか。なぜなら、問題となっているのはワクチン接種開始以後の超過死亡数なのであって、それ以前の数値を含めてしまうと、コロナ死が少なかった日本の場合にはとくに、死亡率が過小評価されてしまう惧れがあるからです。

※昨年12月のヨーロッパにおける超過死亡率については次の記事を参照してください。上氏の挙げた数値よりはるかに大きいことがわかります。

科学界に衝撃！超過死亡率が欧州全体で爆発的増加／アイスランド43％、ドイツ37％、オーストリア27％、アイルランド25％、フランス25％、オランダ23％。ルーマニアとブルガリアだけが減少／増減の理由はワクチン接種の多い欧州の国々で過剰死亡が爆発的に増加、ルーマニアとブルガリアはその傾向に逆行Eurostatは、2022年12月の超過死亡率を発表した。欧州平均はプラス19％で、このパラメータが減少しているのはルーマニアとブルガリアだけであ

totalnewsjp.com

しかもです。上氏が日本の累積超過死亡率2.0％というのをどうやって算出したのか、不明なのです。私は、いくら計算しても倍の4.0％にしかなりませんでした。（ワクチン接種開始以後を対象とするなら6.0％）。

使用数値は以下

全死亡数

2020年　　　　　　　　137万人

2021年　　　　　　　　144万人

2022年（11月まで）　　142万人　　

3年間のコロナ死を除いた超過死亡数17万人（2019年基準・概算）

2.0％と4.0％の差はどこから生じたのでしょうか？

結論的にいえば、超過死亡数の見積もりの多寡に帰着します。キーとなる言葉は「死亡予測値」と「閾値」です。

現実の死亡数をX,予測値をYとすれば、超過死亡数はX－Yで表されます。

よって、超過死亡率は（X－Y）／Y×100（％）です。

Yの値によって超過死亡率が左右されることが分かるでしょう。

ここに、Yの値には幅があることに注意しなければなりません。これを閾値というのですが、95％の信頼度（確率）で、「予測値」の上下に幅を取ってあります。

この「予測値」の幅の上限を取った場合、Yの値は大きくなりますから、当然死亡率は小さくなります。日本のWikipediaではこの上限値を採用しているそうです。

おそらく、上氏はYの値に上限値を当てはめることで、2％という小さな値を導き出したのではないかと推測します。

95％の信頼度（確率）区間の上限値を予測値に取ると、そこから上に逸脱した超過死亡の数値が現れる場合は確率的に5％以下になります。さらにそういう場合が2度続けて起こる確率は5％を2乗して0.25％、3度続けて起こる確率は3乗して0.0125％と極めて小さな値になります。（実際にこれは起こっているのです！）。

その小さな確率は、何事か重大な異変が起こったことを予想させます。それは、上氏が言うような「引きこもり老人の健康悪化」とか「医療逼迫」などという漠然としたものではなくて、広範かつたび重なるワクチン接種以外には考えにくいのです。

・・・・と、素人の私がいくら理屈を言ったところで信用する人はいないのは覚悟しています（笑）。

しかし、真実は現実的な経過が最もよく証明してくれるでありましょう。

次のグラフをご覧になってください。

一番上のグラフが2022年の死者数です。右端の値は12月のもので、予測値です。

さらに左上の図からはみ出した赤丸に注目してください。今年1月の死亡数です。

桁外れというか、超絶した死亡数を示しています。

このグラフを統計操作することによって「大したことはない」と言い張ることは、もはやできなくなっていると思います。

統計いじりが無効になるとき