今日は幾何学ファン以外の方には面白くない内容だと思われますので、スルーされてけっこうです。

先日のナポレオンが３０分で解いたという問題・・・・円周上にコンパスだけで内接正方形の４つの頂点を作図せよ・・・・の解答を記します。

実は、この１週間、毎日少しづつですけれど挑戦して、やっと答えを導き出したのです。何年か前に同じ問題をやったときには２時間で解けたのですが、今回は６時間ぐらいかかっちゃいました。なぜでしょうねえ？　老いぼれたのかなと思って、いささかショックでした。

まず、コンパスと直線定規を使った場合の作図法を示します。これは簡単です。

円の直径を引いて、その垂直二等分線を引けば、円周との交点が正方形の４つの頂点になります。この場合、円の半径を１としますと、正方形の一編は√２になります。これはもう分かっているものと見做してよいでしょう。

ということは、所与の半径１の円で考える場合、この√２が取れるかどうかが勝負になるのです。

さて、半径１の円周上にコンパスで半径と同じ長さの弧を取って行きますと、下のように内接正三角形が描けます。

この正三角形の一辺の長さが√３であることも、分かっていることとして扱ってよいでしょう。

ここで、ちょっと「ピタゴラスの定理」的なセンスが問われます。即ち、次の図のように、斜辺を√３,他の２辺を１,√２とするような三角形は直角三角形であることに気づくセンスです。

ですから、√３を直径とするような、（即ち半径が√３/２である）次図のような円が描ければ、√２を得られるという訳です。

ところが、ある線分をコンパスだけで２等分する方法が案外むずかしい。知っていたはずなのにすっかり忘れてしまっていて、これを思い出すのにえらく時間を食ってしまいました。

こうやります。

線分ABの中点Mを求めます。

まず、ABの延長上にAB＝BCとなるような点Cを取ります。この取り方は、Bを中心とする半径ABの円を描き、その半径分の長さを円周上にチョンチョンと記せば簡単に求まります。

次にCを中心とする半径ACの円を描いておきます。

さらにAを中心とする半径ABの円を描き、先の円との交点をD,Eとします。

そして、Dを中心とする半径DAの円と、Eを中心とする半径EAの円との交点をMとすれば、このMが求めるABの中点になります。

なぜMが中点になるのかを証明するのは簡単ですが、今は省きます。

AB＝√３とすれば、√３/２の長さが取れましたから、これを半径とする円を描き、最初の円の半径１を取りますと、次のような再掲図になり、めでたく√２が得られたことになります。

以上の経過を１つの図で表すと次のようになります。

かなり複雑ですね。でも、とにかく√２が取れましたから、元の円周上にコンパスでチョンチョンをやれば正方形の４頂点が得られます。

正方形が歪んでしまいましたが、これは技術上の問題なので気にすることはありません。理論的にはコンパスだけで正方形の４頂点が取れたことは間違いありません。

ネットで調べましたら、この問題、ナポレオンが出題されて解いたのか、自分で作ったのかは明らかになっていないそうです。いずれにしても、彼は相当数学が得意だったそうですから、３０分で解いたというエピソードには信憑性があります。（今なら私だって１０分で解けるわWW)。

まだ若干の補足があるのですが、それは次回ということで。

ではさようなら。

４つの敵（笑）